台湾輸出酒類受託分析に関するQ&A

Q1 「台湾輸入酒類検査法」とはどのような法律ですか

「台湾輸入酒類検査法」の概要は、次のとおりです。

「台湾輸入酒類検査法」は、台湾に輸入される酒類について衛生上の安全性を確保するため2006年1月より施行されました。

この法律によると、日本から輸入される酒類についても、台湾当局における輸入検査に合格しないかぎり、台湾での流通ができなくなります。

しかし、輸出国において発行された「試験報告、検査証明あるいは関連の認証証明」(2年以内に発行されたもの)があれば、台湾においてロット抽出検査等を省略し書面審査で許可されることとなっています。

概要

輸入の際にかつて検査され衛生基準に合格したもの注)、あるいは、輸出国において発行された「試験報告、検査証明あるいは関連機関の認証証明」(2年以内に発行されたもの)があれば、書面審査が適用される(第6条)。また、抽出検査を行う場合は、過去に同銘柄で不合格になった等格段の衛生安全上の問題がなければ(第5条)、5%を下回らない頻度で抽出し検査を行う(第4条、7条)。検査結果はサンプリング後7日以内に分析機関から当局に報告される(第17条)。

なお、抽出対象とならなかったものについては書面審査で許可される(第6条)。

注:輸入者、商品名、原産地、アルコール分、製品の区分、包装材質及び製造業者が同一の酒類で、2年以内に中央主管機関あるいは中央主管機関認可の実験室によって、公開されている検査方法により合格したもの。ただし、ワインについては、輸入者、商品名、原産地、製品の区分、包装材質及び製造業者が同一であれば、アルコール分が異なっていても適用する。

詳細は「輸入酒類検査業務」のホームページ(中国語サイト)を参照してください。

行政院公報資訊網財政部國庫署全球資訊網のホームページ(中国語))

Q2 「台湾輸入酒類検査法」はいつから施行されたのですか

2006年1月1日から正式に施行されました。

検査は、輸入酒類の種類により次の2段階に分けて開始されました。

  1. 2006年1月1日からは、ビール類、フルーツワイン類(ブドウ酒を除く)、穀類醸造酒類、その他の醸造酒類の検査が開始されました。
  2. 2006年7月1日からは、全ての輸入酒類の検査が開始されています。

Q3 検査はどのような方法で行われますか

検査の方法には、①全ロット検査、②ロット抽出検査、③書面審査の三つがあるとのことです。

検査は、輸入酒類の種類により次の2段階に分けて開始されました。

①全ロット検査
検査申請の後、サンプリング検査を経て輸入が許可されます。
②ロット抽出検査
検査申請の後、ロットから5%以上の抽出率でランダム抽出し、抽出された酒類については、サンプリング検査を経て輸入が許可されます。
③書面審査
検査申請の後、書類審査のみで輸入が許可されます。

Q4 ロットとはどのように定義されていますか

検査申請はロット毎に提出する必要があります。同一ロットとは、商品名、原産地、アルコール分、製品の種類、容器の材質が完全に同一のものです。

商品名、原産地、アルコール分、製品の種類、容器の材質が完全に同一ならば、容器の容量、貯蔵年数のみが異なる場合(ブドウ酒はアルコール分が異なっていても)は同一ロットとして取り扱われます。

Q5 どのような場合に全ロット検査が行われますか

申請された輸入酒類が次のいずれかに該当する場合に全ロット検査となります。

  1. 未変成アルコール
  2. 台湾内外の製品安全に関わる情報、科学的根拠により人体に顕著な危害を及ぼすおそれがあるもの
  3. 過去の検査で不合格だったもの
  4. 台湾内外の製品安全に関わる情報により、より詳しく調べる必要があるもの
  5. 過去同一商標、同一原産地、同一製品種類の酒類が輸入された際に不合格となったもの。ただし、その後の検査で5回合格している場合は、ロット抽出検査又は書面審査となります。
  6. 検査合格前に、運び出したり、第三者に引き渡ししたりしたもの
  7. 衛生安全面で懸念される点があり、当局において全ロット検査が必要と認めたもの

Q6 どのような場合に書面審査が適用されますか

次のいずれかの場合に書面審査が適用されます。

  1. 以前の輸入検査で合格しているもの
  2. ロット抽出検査で、抽出されなかったもの
  3. 台湾当局が承認している機関が2年以内に発行した当該製品の検査証明書を申請の際に添付しているもの

ただし、これらを充たしていても衛生安全上の疑いがある場合は検査が行われます。

Q7 どの品目の酒類でも検査証明書があれば書面審査が適用されますか

台湾が承認している機関が発行した検査証明書があれば全ての酒類が書面審査の対象となります。

Q8 酒類を輸出する都度、検査証明書が必要ですか

商品名、原産地、アルコール分、製品の種類、容器の材質が完全に同一の製品であれば、当該検査証明書は2年間有効ですので、その間は同じ証明書を添付することが可能です。(Q4参照)

なお、商品名、原産地、アルコール分、製品の種類、容器の材質(ビン、缶、ペットボトルなど)が完全に同一な商品であって、容器の容量のみが異なる場合には同一ロットとみなされ、ある容量の検査証明書で容量が異なる商品の書面審査を受けることができます。

貯蔵年数のみが異なる場合(ブドウ酒はアルコール分が異なっていてもよい)も同一ロットとみなされ、ある貯蔵年数の商品の検査証明書で貯蔵年数の異なる商品の書面審査を受けることができます。

検査申請及び検査結果は、その後コンピュータで管理されますが、常に検査証明書のコピーを添付していると審査が早くなるとのことです。

Q9 検査証明書は必ず必要なのですか

必ず必要というわけではありません。

ロット抽出検査に選ばれても良いというのであればあらかじめ添付する必要はありません。しかし、抽出されると分析結果が出るまで最低でも1週間以上止め置かれることとなり、検査費用についても請求が行われます。

なお、台湾当局は、酒類の生産、品質、表示、衛生基準、調査などの法令、管理体制が整備されている国(日本を含む)からの輸入酒にはなるべく検査証明書を添付してもらいたい意向だと聞いています。

Q10 台湾における酒類の「衛生基準」はどのように定められていますか

台湾における衛生基準は、各酒類(台湾における分類による)ごとに、次のとおり定められています。

酒類によって、現在必要とされている分析項目はQ15をご覧ください。

各酒類の衛生基準
産品種類 項目 基準
ブランデー、葡萄蒸留酒、甘藷蒸留酒 メタノール 2,000mg/L以下(純エタノール換算)
果実粕蒸留酒、葡萄以外その他果実醸造酒及び蒸留酒 メタノール 4,000mg/L以下(純エタノール換算)
葡萄酒、龍舌蘭酒 メタノール 3,000 mg/L以下(純エタノール換算)
ビール、穀類醸造酒類、その他醸造酒、ウイスキー、白酒、米酒、その他蒸留酒、料理酒、食用アルコール類及びその他食用酒類 メタノール 1,000mg/L以下(純エタノール換算)
再製酒類 メタノール アルコール類、醸造酒或いは蒸留酒等のメタノール規定に従う
各種酒類 0.3mg/L以下
果物を原料とする酒類 二酸化硫黄 0.4g/L以下
ビール類及び穀類を原料とする酒類 二酸化硫黄 0.03g/L以下

「財政部 公告 台財庫字第09503516340号」により、二酸化硫黄の残留量が1リットル当たり0.25g以上0.4g未満の商品は、2008年5月16日以降、商品に二酸化硫黄の含有量が400ppm以下であることを表示しなければなりません。(二酸化硫黄の残留量が1リットル当たり0.25gを超えない場合は、何も表示する必要はありません。)

2016年12月27日付で、台湾における甘藷蒸留酒及び葡萄酒のメタノール基準値が緩和されました。甘藷蒸留酒は2,000 mg/L以下(純エタノール換算)、葡萄酒は3,000 mg/L以下(純エタノール換算)となりました。

詳細は行政院公報資訊網のホームページを参照してください。(中国語サイト)

酒類衛生標準修正條文行政院公報資訊網のホームページ)

なお、詳細は「酒類衛生標準」のホームページを参照してください。(中国語サイト)

酒類衛生標準財政部國庫署全球資訊網のホームページ)

Q11 台湾当局が認める検査証明書を発行することができる機関はどこですか

台湾当局が認めている分析機関は、ILAC(国際試験所認定機関協力機構)で認められた分析機関または輸出国の政府機関、輸出国におけるアルコール飲料の専門組織などとされています。

Q12 日本で台湾当局が認める検査証明書を発行することができる分析機関は酒類総合研究所の他にどこがありますか

現在のところ、酒類総合研究所だけだと聞いています。

Q13 酒類総合研究所では輸出する全ての酒類について分析してくれますか

全ての酒類について分析します。ただし、性状によっては、対応出来ない場合があります。

Q14 分析はどのような方法で行われますか

分析方法は、基本的には台湾当局が公告した方法を用いることとなっていますが、国際的に認められている方法、公開されている方法(国税庁所定分析法など)でも可とされています。

現在、台湾で公告されている方法は、次のとおりです。

① メタノール
ガスクロマトグラフィー、比色法
② 鉛
ファーネス式原子吸光分析法、誘導結合プラズマ質量分析法
③ 二酸化硫黄
アルカリ滴定法、イオンクロマトグラフィー

Q15 酒類によって分析項目は異なりますか

酒類によって、現在必要とされている分析項目は下表のとおりです。

各酒類に必要となる分析項目
酒類商品 検査項目
ビール類 二酸化硫黄
果実醸造酒類(葡萄酒) 二酸化硫黄
果実醸造酒類(その他果実酒) メタノール、二酸化硫黄
穀類醸造酒類 メタノール、鉛、二酸化硫黄
その他醸造酒類 メタノール、鉛、二酸化硫黄
蒸留酒類(葡萄ブランデー) メタノール
蒸留酒類(ウイスキー) メタノール
蒸留酒類(白酒) メタノール、鉛
蒸留酒類(米酒) メタノール、鉛、二酸化硫黄
蒸留酒類(その他蒸留酒) メタノール
再製酒類 メタノール、鉛
料理酒類 メタノール、鉛、二酸化硫黄
アルコール類 メタノール、鉛
その他酒類 メタノール、鉛、二酸化硫黄

なお、詳細は「タバコ酒管理業務」のホームページを参照してください。(中国語サイト)

菸酒管理業務財政部國庫署全球資訊網のホームページ)

Q16 分析申込みの手続きはどのようにしたらよいですか

酒類総合研究所のホームページで公開している「台湾へ輸出する酒類の受託分析について」に詳しく解説しています。

なお、「受託分析申込書」の様式等はダウンロードして利用していただけます。

受託分析申込書について

Q17 分析試料はどのくらい必要ですか

分析試料量は、1リットル以上を送付してください。容量1リットル以上の製品であれば1本、1リットル未満の場合は合わせて1リットル以上となる本数とします。

Q18 分析のために提出する試料はタンクから採取したもので良いですか

分析試料は、輸出する際の装丁で送付してください。

商標、アルコール分、容器の材質が台湾へ輸出する際とすべて同じである必要があります。

Q19 分析の結果が出るまでどのくらいかかりますか

原則として受付日から20営業日以内に結果を回答致します。

ただし、次のような理由で分析書の発行が受付日から20営業日以降となる見込みとなった場合には、その旨連絡して協議を行います。

  1. 分析依頼が同時期に集中した場合
  2. 分析検体容器の破損や分析装置の故障等、予期せぬ事態が発生した場合もしくは生じることが予測される場合
  3. その他の事情

Q20 分析にかかる費用はいくらですか

分析検体1点についての費用は以下のとおりです。

分析項目 分析費用(消費税込)
メタノール 7,500円
6,400円
二酸化硫黄 6,100円

例1)メタノール、鉛、二酸化硫黄の3項目の分析を行う場合

7,500+6,400+6,100=20,000円

例2)メタノールと鉛の2項目の分析を行う場合

7,500+6,400=13,900円

Q21 どのような分析書が発行されますか

日本語と英語を併記した分析書を発行します。

分析書の見本

酒類総合研究所では、台湾へ輸出する酒類の受託分析をお申込みいただく際の一助として、当該Q&Aを作成しておりますが、正確性及び完全性を保証するものではありません。最新又は詳細な内容につきましては、以下の「輸出検査業務Q&A」のホームページでご確認いただきますようお願いいたします(作成日:平成29年1月23日)。

進口酒類查驗管理業務問答(財政部國庫署全球資訊網のホームページ)