平成10年度 研究成果

研究成果情報について

研究成果

1 Aspergillus kawachii 酸性キシラナーゼCのX線結晶構造解析

著者
伏信進矢、伊藤清、今野美智子、松沢洋
要約

白麹菌のキシラナーゼCはpH1から9まで安定で、その至適pHが2であるという、極めて耐酸性が高くかつ好酸性を示す興味ある酵素である。この酵素がなぜこのような特異的な性質を示すかを検討するために、X線結晶構造解析を行った。その結果、好酸性には活性中心近傍に存在するAsp37が、耐酸性には酵素タンパク質の表面に存在する酸性残基が寄与していることを明らかにした。

掲載雑誌
応用糖質科学, 45, 139 (1998)

2 Purification and Characterization of Extracellular and Cell Wall Bound β-Glucosidases from Aspergillus kawachii

著者
K. Iwashita, K. Todoroki, H. Kimura, H. Shimoi, and K. Ito
岩下和裕、轟木康市、木村等、下飯仁、伊藤清
要約

著者らは、白麹菌(Aspergillus kawachii)から、菌体外に遊離の状態で存在するβ-グルコシダーゼを2種類(EX-1,2)、細胞壁に結合した状態で存在するβ-グルコシダーゼを1種類(CB-1)精製した。これらの酵素化学的諸性質はほとんど同一であった。N末端アミノ酸シークエンス等の結果から、これらの酵素は、同一の遺伝子の産物であることが強く示唆された。さらに、これらの酵素は、比較的穏和な条件であっても非常に不安定であることが明らかとなった。しかし、細胞壁多糖成分の添加により、これらの酵素の安定性は格段に向上することが明らかになった。また、これらの酵素は細胞壁多糖成分に強固に吸着した。

掲載雑誌
Biosci. Biotechnol. Biochem., 62, 1938 (1998)

3 Insertion Analysis of Putative Functional Elements in the Promoter Region of the Aspergillus oryzae Taka-amylase A Gene (amyB) Using a Heterologous Aspergillus nidulans amdS-lacZ Fusioin Gene System

著者
Y. Kanemori, K. Gomi, K. Kitamoto, C. Kumagai, and G. Tamura
金森洋治、五味勝也、北本勝ひこ、熊谷知栄子、田村學造
要約

Aspergillus oryzae タカアミラーゼA遺伝子(amyB)のプロモーター領域に存在するグルコアミラーゼ(glaA)、α-グルコシダーゼ(agdA)と高い相同性を示す3ヶ所の配列(RegionI,II,III)を含むDNA断片をAspergillus nidulans のアセトアミダーゼ遺伝子(amdS)プロモーターに挿入して、レポーター遺伝子(lacZ)の発現を調べることによりマルトース誘導に関与する機能領域を解析した。その結果、RegionIIIを含む断片を挿入した場合に最も高いマルトース誘導性が認められ、RegionⅠのものではそれより低い誘導活性が得られた 。一方、RegionIIを含む断片を挿入してもマルトース誘導は認められなかった。このことから、RegionIIIがamyB遺伝子のマルトース誘導に最も関与していることが示唆された。

掲載雑誌
Biosci. Biotechnol. Biochem., 63, 180 (1999)

4 Improvement of promoter activity by the introduction of multiple copies of the conserved region III sequence, involved in the efficient expression of Aspergillus oryzae amylase-encoding genes

著者
T. Minetoki, C. Kumagai, K. Gomi, K. Kitamoto, and K. Takahashi
峰時俊貴、熊谷知栄子、五味勝也、北本勝ひこ、高橋康次郎
要約

麹菌Aspergillus oryzaeのアミラーゼ類をコードする遺伝子、amyBglaAagdAの高発現に必要なプロモーターの保存配列regionIIIをagdAのプロモーター部位に多コピー導入したところ、転写レベルの顕著な上昇が認められた。本来発現が抑制されるグルコース存在下でも、この改変型プロモーターの導入によりagdAの翻訳産物のα-glucosidaseが高生産されたことから、本改変型プロモーターが高発現用プロモーターとして有効であることが示された。一方、改変型プロモーターを多コピー導入した株では、amyBglaAの発現量が顕著に低下する現象が認められた。このことからamyBglaAのプロモーター領域に存在するregionIIIにも共通の転写因子が結合し、agdAのプロモーター部位へのregionIIIの多コピー導入により、この転写因子が不足(titration)したためamyBglaAの発現量が低下したものと推定された。

掲載雑誌
Appl. Microbiol. Biotechnol., 50, 459 (1998)

5 An aureobasidin A resistance gene isolated from Aspergillus is a homolog of yeast AUR1, a gene responsible for inositol phosphorylceramide (IPC) synthase activity

著者
M. Kuroda, N. Hashida-Okado, R. Yasumoto, K. Gomi, I. Kato, and K, Takesako
黒田正伸、橋田(大門)尚志、安本理恵、五味勝也、加藤郁之進、竹迫一任
要約

酵母(S. cerevisiae)のinositol phosphorylceramide (IPC)合成活性に関与するAUR1遺伝子のホモログをAspergillus nidulansから分離した。このホモログ遺伝子(aurA)の1塩基変異により、酵母での場合と同様にaureobasidin Aに対して耐性となった。aurA遺伝子を用いて、A. fumigatusA. nigerA. oryzaeからホモログ遺伝子を分離した。A. fumigatusのホモログ遺伝子の推定アミノ酸配列はA. nidulansと87%相同であった。両菌株のaurAタンパク質の疎水性プロファイルやN糖鎖結合部位等の一次配列は、S. cerevisiaeSchizosaccharomyces pombeCandida albicansの相当遺伝子のタンパク質と類似性が高く、この遺伝子が菌類において進化の上で高度に保存されていることが示された。

掲載雑誌
Mol. Gen. Genet., 261, 290 (1999)

6 Crystallographic and mutational analyses of an extremely acidophilic and acid-stable xylanase: biased distribution of acidic residues and importance of Asp37 for catalysis at low pH

著者
S. Fushinobu, K. Ito, M. Konno, T. Wakagi, and H. Matsuzawa
伏信進矢、伊藤清、今野美智子、若木高善、松沢洋
要約

極めて耐酸性が高く好酸性を示す白麹菌のキシラナーゼCの性質を検討するために、解像度2.0ÅでのX線結晶構造解析を行った。キシラナーゼCの構造は他のキシラナーゼと酷似していたが、活性中心であるGlu170の近傍に位置するAsp37が他の酵素ではAsnであり、これが好酸性に寄与していると推定された。この点を明らかにするために、Asp37を他の残基に部位指定突然変異で置換することにより、本残基の至適pHに対する寄与を明らかにした。また、いわゆる「Ser/Thr surface」と呼ばれる酵素タンパク質の表面に酸性残基が多数配置していることがわかり、これが耐酸性に寄与していると思われた。

掲載雑誌
Protein Eng., 11, 1121 (1998)

7 ブドウのAFLP解析に対する制限酵素濃度の影響、並びにAFLP解析による ‘Pinot noir' 及び‘Pinot blanc'の識別

著者
後藤(山本)奈美
要約

ブドウDNAのAFLP解析において、制限酵素量を標準的な1 U/100 ng DNAの10倍にしたところ、いくつかのバンドが消失し、いくつかのバンドが強く現れた。これは、DNAが制限酵素のスター活性によって過剰に消化されたためと推定された。従って、AFLP解析には、消化が完全に行われ、かつスター活性が現れていないかに、十分な注意が必要であることが示された。また、これまでRFLP、RAPD及びミクロサテライト・マーカーでは識別が困難とされていた‘Pinot noir'と ‘Pinot blanc'に、AFLP解析では複数のバンドの差異が認められた。

掲載雑誌
ASEV日本ブドウ・ワイン学会誌, 9, 83 (1998)

8 RFLP and RAPD analysis of wild and cultivated grapes (Vitis spp.)

著者
N. Goto-Yamamoto, R. Mochioka, L. Bonian, K. Hashizume, N. Umeda, and S.Horiuchi
後藤(山本)奈美、望岡亮介、林伯年、橋爪克己、梅田紀彦、堀内昭作
要約

野生ブドウ及びブドウ栽培品種の類縁関係を推定するため、ブドウDNAのRFLP(制限酵素断片長多型解析)及びRAPD (Random Amplified Polymorphic DNA) 解析を行った。リボソームDNAの介在配列をプローブにしたRFLP解析では、採取地によって若干の差異は認められるものの、ブドウ属の種内で類似したパターンを示した。また、5種類の10merをプライマーにしたRAPD解析のデータを基に樹形図を作成したところ、一部の例外を除き、野生ブドウ、栽培ブドウの種及び生態系レベルで、従来の分類とよく一致する結果が得られた。我が国固有の品種である甲州は、東洋系V. viniferaのクラスターに含まれたが、竜眼等、他の品種に認められないバンドが2本検出された。従って、従来の説とは異なり、甲州は竜眼の実生とは考えられないことが示された。

掲載雑誌
J. Japan. Soc. Hort. Sci., 67, 483 (1998)

9 Effect of Steam Treatment of Grape Cluster Stems on the Methoxypyrazine, Phenolic Acid, and Mineral Content of Red Wines Fermented with Stems

著者
K. Hashizume, S. Kida, and T. Samuta
橋爪克己、木田茂樹、佐無田隆
要約

ブドウ果梗の蒸きょう処理は、カベルネ・ソービニヨン、メルロー、ピノ・ノワール及びマスカット・ベリーA果梗の抽出可能なメトキシピラジン(MP)の95%以上を減少させた。また、ブドウ果梗の蒸きょう処理は、カベルネ・ソービニヨン果梗の抽出可能なフラボノイドフェノールを増加させた。蒸きょう処理果梗から抽出されたフェノールの平均的な分子量は、ゲルろ過HPLC分析の結果、生果梗から抽出されたフェノールのそれより小さいと推定された。蒸きょう果梗を添加して発酵した赤ワインは生果梗を添加した場合より520nmの吸光度は高く、MPのレベルは低かった。また、蒸きょう果梗の添加は赤ワイン中のフラボノイドフェノールを増加させた。蒸きょう処理の有無にかかわらず、果梗の添加はワイン中のリン酸、K、Caのレベルを上昇させた。

掲載雑誌
J. Agric. Food Chem., 46, 4382 (1998)

10 Sed1p is a major cell wall protein of Saccharomyces cerevisiae in the stationary phase and is involved in lytic enzyme resistance

著者
H. Shimoi, H. Kitagaki, H. Ohmori, Y. Iimura, and K. Ito
下飯仁、北垣浩志、大森久信、飯村穣、伊藤清
要約

酵母の細胞壁を RPIプロテアーゼで処理した抽出物から分子量26万の細胞壁タンパク質を精製した。アミノ酸配列の解析の結果、このタンパク質はSED1の産物であることがわかった。Sed1pは、セリン・スレオニンリッチであり、他の細胞壁タンパク質と同様にシグナル配列とGPIアンカー付加シグナルを持っている。しかし、Sed1pは他の細胞壁タンパク質と異なり、6ヶのシステインと7ヶのN糖鎖結合部位を持っていることから、新しい種類の細胞壁タンパク質であると考えられる。エピトープタグを付与したSed1pはウェスタン解析によってグルカナーゼ抽出画分に検出されることから、Sed1pはグルカン結合型の細胞壁タンパク質であると考えられる。SED1の転写レベルの発現は定常期に増加し、それはタンパクレベルでのSed1pの増加を伴っていた。SED1の遺伝子破壊は、指数増殖期の細胞に対しては影響しないが、定常期の細胞ではザイモリエースに対して感受性になった。これらの結果は、Sed1pが定常期の細胞壁の主要な構造タンパク質であり、溶菌酵素耐性に必要であることを示している。

掲載雑誌
J. Bacteriol., 180, 3381 (1998)

11 繊維凝集性酵母M111株からの高凝集活性変異株の分離

著者
秋田修、岩下雄二郎、藤井力、家藤治幸、飯村穣
要約

焼酎蒸留廃液の固液分離に有効なGeotrichum属酵母M111株から、親株より増殖性が高く、繊維成分との凝集活性にも優れた変異株を分離できた。変異株M-3は焼酎蒸留廃液の液部を培地にした場合、親株より菌数増加が速く最大増殖数も高くなった。M-3の細胞は親株より小さいが1細胞当たりの凝集活性は同等であるため、培養液当たりの凝集活性は親株の2倍となり、蒸留廃液の固液分離においても親株より有効であった。

掲載雑誌
醸協, 93, 481 (1998)

12 ビール酵母とその他の醸造用酵母のビール醸造特性

著者
向井伸彦、岡田明彦、鈴木昭紀、高橋利郎
要約

ビール醸造の観点から、ビール酵母、清酒酵母、焼酎酵母及びワイン酵母の各醸造用酵母の特性を比較することを目的に、炭素源の発酵性・資化性試験や酵母の凝集性試験を実施した。また、三角フラスコレベル(100ml)及び発酵管レベル(2L)での麦汁発酵性試験を実施し、以下の結果が得られた。

ビール酵母は、麦汁でよく発酵するとともに、凝集性が強かった。ワイン酵母は、マルトースの発酵・資化性が高く、麦汁で比較的よく発酵したが、凝集性は弱かった。清酒酵母は、ガラクトース、マルトースの発酵性・資化性が弱い傾向がみられた。焼酎酵母では、マルトースは発酵・資化したもののマルトトリオースの発酵・資化性が弱かった。

さらに、ワイン酵母(K-1)及び清酒酵母(K-14)を用いてパイロットスケール(100L)での試験醸造を実施した。その結果、ワイン酵母によるビールは、酸味とフェノール臭が強く、清酒酵母によるビールは、エステル香が強いことがわかった。

掲載雑誌
醸協, 93, 967 (1998)

13 Purification and Characterization of a Feruloylesterase from Aspergillus awamori

著者
T. Koseki, S. Furuse, K. Iwano, and H. Matsuzawa
小関卓也、古瀬伸二、岩野君夫、松沢洋
要約

Aspergillus awamoriの小麦ふすま培養上清からフェルラ酸エステラーゼを精製した。SDS-ポリアクリルアミドゲル及び等電点電気泳動において、精製酵素の分子量は35,000、等電点は3.8であった。本酵素活性は、1mMのDFP及びPMSFにより阻害された。また、脱デンプン化した小麦ふすまに作用させると、キシラナーゼの存在なしでフェルラ酸及びp-クマール酸を遊離した。芳香族エステルに対する基質特異性は、A. awamoriのアセチルエステラーゼとは異なっていた。A. niger由来の酵素と同様に微結晶セルロースに対する結合性を示した。

掲載雑誌
Biosci. Biotechnol. Biochem., 62, 2032 (1998)

14 酒米品種における胚乳形成初期の糖質代謝

著者
樋口恭子、池上勝、世古晴美、荒巻功、佐無田隆
要約

心白発現のメカニズムの生化学的な基礎知見を得るため、心白が発現しやすい山田錦など3品種、発現しにくい品種として日本晴など2品種を選び、開花後7、10、13日目の未熟胚乳に含まれる澱粉合成の中間体(グルコース、スクロース、フルクトース、フルクトース1,6-二リン酸、グルコース6-リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、3-ホスホグリセリン酸)を定量した。開花後7日目の(ジヒドロキシアセトンリン酸+3-ホスホグリセリン酸)/グルコース6-リン酸の比とフルクトース1,6-二リン酸/グルコース6-リン酸の比が心白の発現しやすい品種で高かった。

掲載雑誌
近畿作物・育種研究, 43, 45 (1998)

15 回転型セラミックフィルターによる清酒のクロスフローろ過

著者
佐藤和夫、平原敏幸、西谷尚道
要約

回転型クロスフローろ過装置を用いて清酒の清澄ろ過試験を行い、ろ過方式の違いによるろ過特性を調べたところ、デッド・エンド方式に比べて回転型クロスフローろ過は高いろ過フラックスを保持した。回転型クロスフローろ過方式では、ろ過フラックスはフィルターの回転速度に比例し、UFフィルターを用いた場合約6Kg/cm2の圧力域までろ過圧力に比例したろ過フラックスが得られた。

掲載雑誌
醸協, 93, 475 (1998)

16 半固体状米糖化物を用いる清酒製造

著者
佐無田隆、片桐康雄、伊藤伸一、荒巻功
要約

掛米、米麹及び50%以下のくみ水を用いる半固体状の濃厚な甘酒(醴酒)の製造条件を検討した。掛米は蒸米のままではほとんど溶解・糖化しなかったが、餅状またはローラーで圧砕した状態で仕込んだ場合は溶解糖化が進んだ。醴酒は微生物に汚染されやすいが、仕込時に約3%のアルコールを含有させ、なるべく空気に触れないようにした場合は汚染されなかった。掛米として糯米、粳玄米、70及び50%白米を用いて醴酒を製造し、これを用いて清酒を製造したところ、玄米区分は旺盛に醗酵したが白米区分はいずれも停滞した。

掲載雑誌
醸協, 93, 567 (1998)

17 ケフィアから単離した酵母Kluyveromyces marxianus HU-1による米粉糖化液の発酵

著者
富永美穂子、本宮ゆり香、三崎恵理、家藤治幸、佐藤一精
要約

米の利用法の一つとして高齢者にも好まれる消化吸収性に優れた米粉糖化発酵飲料の調製を目的に、ケフィアからフルーティーな芳香を発する有用な酵母の単離を行った。単離した酵母は同定の結果、Klyuveromyces marxianusに属する酵母であり、K. marxianus HU-1と命名した。本酵母の性質を知るため、米粉糖化液の発酵性を清酒酵母Saccharomyces cerevisiae IAM 4512と比較した。静置培養ではS. cerevisiae IAM 4512より生育度は低い値を示したが、振盪培養では逆に生育速度が速かった。また、培養法にかかわらず糖の消費量が少なく、エタノール生成量も静置培養では約1%、振盪培養では生成がほとんど認められなかった。したがって、K. marxianus HU-1を用いることにより、フルーティーで米粉糖化液そのものの甘さを生かす、低アルコールの飲料が調製できる可能性が示された。

掲載雑誌
農化, 72, 481 (1998)

18 SSU1-R, a sulfite resistance gene of wine yeast, is an allele of SSU1 with a different upstream sequence

著者
N. Goto-Yamamoto, K. Kitano, K. Shiki, Y. Yoshida, T. Suzuki, T. Iwata, Y. Yamane, and S. Hara
後藤(山本)奈美、北野一好、四鬼邦郎、吉田裕一、鈴木 崇、岩田知子、山根善治、原 昌道
要約

強い亜硫酸耐性を示すSaccharomyces cerevisiae Y-9から亜硫酸耐性遺伝子、SSU1-Rがクローニングされた。SSU1-Rのコード領域は、亜硫酸のトランスポーターをコードすると推定されているSSU1とほぼ一致した。SSU1は16番染色体にコードされているが、SSU1-Rの上流域の配列は8番染色体の配列とホモロジーを示した。ノーザン解析の結果、強い亜硫酸耐性を示すY-9とK1-V1116からは、培地中の亜硫酸の有無に関わらず強いバンドが検出され、亜硫酸耐性の弱いOC-2からはバンドが検出されなかった。フィジカル・マッピングの結果、SSU1/SSU1-Rは、Y-9、K1-V1116等では8番染色体に、OC-2を含むワイン酵母、清酒酵母等24株では16番染色体に座乗していた。これらの結果から、上流域のシーケンスの違いが原因で転写効率が異なり、亜硫酸耐性の程度が異なっているものと考えられた。

掲載雑誌
J. Ferment. Bioeng., 86, 427 (1998)

19 平成8酒造年度全国新酒鑑評会出品酒の分析について

著者
高橋康次郎、木崎康造、後藤(山本)奈美、福田央、小林信也
要約

平成8酒造年度全国新酒鑑評会出品酒879点の分析結果及び調査結果について考察した。

掲載雑誌
醸研報, No170, 1 (1998)

20 第20回本格焼酎鑑評会について

著者
岩野君夫、三上重明、磯谷敦子、小林信也
要約

第20回本格焼酎鑑評会出品酒248点について官能審査及び成分分析の結果とともに酒質の傾向を考察した。

掲載雑誌
醸研報, No170, 27 (1998)

21 第35回洋酒・果実酒鑑評会出品酒の分析値

著者
佐無田隆、橋爪克己、岩田博、辻井将之、高橋康次郎
要約

第35回洋酒・果実酒鑑評会出品酒308点について鑑評結果を述べるとともに、果実酒類、ウイスキー類及びブランデーについて分析値を示した。

掲載雑誌
醸研報, No170, 13 (1998)