政府備蓄米の酒造特性(No.3)~試験醸造~
独立行政法人酒類総合研究所・国税庁
政府備蓄米の試験醸造の結果について
酒質設計
- 純米酒・本醸造酒・普通酒での使用を想定し、精米歩合は70%としました。
- 純米酒の標準的な醸造法により、スタンダードなやや辛口の酒質を目指しました。
精米
- 醸造精米機 サタケEDB15Aを用いて玄米305kgを約5時間かけ、白米214kgまで精米しました。
(みかけ精米歩合70%)
仕込配合(kg)
添 | 仲 | 留 | 追水 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
総米 | 17 | 30 | 53 | 100 | |
掛米 | 11 | 22 | 44 | 77 | |
麴米 | 6 | 8 | 9 | 23 | |
汲水 | 25 | 37 | 70 | 5 | 137 |
- 麴米、掛米ともに備蓄米(R2年産、精米歩合70%)を使用
- 酵母:きょうかい901号(乾燥酵母)
- 麴菌:樋口松之助商店 醪用
- 酒母省略(酵母仕込み、早期の情報提供のため)
- アルコール添加なし・加水なし
- 設計:アルコール分18度、日本酒度+4(20日醪)
試験醸造酒の歩合及び分析値等
醪日数 | 歩合 | 分析値 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
粕歩合 (%) |
純アルコール収得 (L/t) |
日本酒度 | アルコール分 (%) |
エキス分 | 酸度 | アミノ酸度 | |
20 | 28.9 | 359 | 5.4 | 18.4 | 5.0 | 2.5 | 1.7 |
(参考)令和5酒造年度清酒製造状況等調査における純米酒の全国平均値 粕歩合:31.9% 純アルコール収得:372L/t
酒類総合研究所職員15名による官能評価
総合評価 (1良⇔5悪) |
古米臭 (1感じない⇔5強く感じる) |
コメント |
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2.5 | 1.1 | 酸味しっかり、適度なふくらみ 濃い味わいと香りのバランスが良い、など |
結果と考察
- 精米担当の所感として、精米初期に通常の玄米を精米する際と異なる匂いを感じましたが、精米が進むにつれて感じられなくなり、70%白米ではほとんど感じませんでした。
- 通常の純米原酒を想定して酒質を設計し、標準的な醸造法により製造したところ、概ね設計どおりの製成酒となりました。
- 酸度が少し高めになりましたが、仕込規模が小さいことが要因だと推測されます。
- 官能評価の結果、古米臭も含めて、香りや味に大きな欠点の指摘はなく、酒質上の問題は認められませんでした。
- その他の分析値、製麴経過やもろみ経過などは、以下のとおりです。
連絡先 独立行政法人酒類総合研究所 info@nrib.go.jpまでお問い合わせください。
備蓄米の利用等については、所管の国税局鑑定官室にお問い合わせください。