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(公財)中央果実協会の委託調査事業の報告書。国内のワイン用ブドウの供給体制や品種、クローン、ウイルスなどの課題をまとめ、海外の主要産地との比較、及び課題改善のための提言を行っている。下記サイトでは、同報告書のプレゼン資料も公開されている。
上記の委託調査事業2年目の報告書。国内のワイン用ブドウに関する栽培圃場及び生育の詳細な調査結果、海外のブドウ苗木の供給体制の調査結果などを報告し、日本における醸造用ブドウ品種の可能性を考察するとともに課題解決への提言を行う。
東暁史
農研機構 果樹研究所
「果樹研究のバイオインフォマティクス」(農研機構・果樹研究所. 2016年3月)の一節。環境要因、植物ホルモンとブドウの成熟、遺伝子発現に関する国内外の研究が幅広く紹介されている。
Towards an Agroecological Viticulture: Advances and Challenges
C. Gary, R. Metral, A. Metay, L. Garcia, A. Merot, N. Smits, J. Wery.
Proceedings of the 20th GiESCO International Meeting, 2017, Mendoza, Argentina
草生栽培、肥料、農薬などのブドウ園の土壌管理に対する農業生態的アプローチの概要を紹介する。ブドウ栽培システムを研究する専門家会議(GiESCO)の講演要旨。
Technology in Precision Viticulture: A State of the Art Review
Matese A, Di Gennaro SF
International Journal of Wine Research, 7, 69-81 (2015), Dove Press
ブドウの可能性を最大限に引き出すことを目指す精密ブドウ栽培(Precision Viticulture)の概要を紹介するレビュー。ドローンや人工衛星を利用したリモートセンシング技術、各種センサーを用いたモニター技術(土壌、収穫、品質)、ブドウ成分の非破壊分析装置、GPSを利用した自動運転トラクター等の現状を紹介する。
北海道農政部のWEBサイト。
植栽から栽培管理、防除のほか、支援制度等、新規就農者を想定した情報も。
長野県農業試験場のWEBサイト。
会員登録すると、ワイン用ブドウについて様々な情報の取得・提供ができる。
ブドウのクローンやウイルスの問題など、日本のワイン用ブドウが抱える課題の解決と知見の共有を目指す団体。講演資料等の一部は会員外にも公開されている。
ブドウ病理の専門家、荷田瑞穂バージニア工科大学准教授が日本での講演会、ワークショップなどに使用した資料を公開するサイト。
岡山大学農学部で果樹園芸学の教授をされていた(現在名誉教授)岡本五郎先生による連載の基礎講座。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 8, 112-118 (1997)
挿し木、生長点培養、台木と接ぎ木、定植などの解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 9, 28-32 (1998)
新梢、根の生育管理、主枝の育成管理、整枝法(キャノピーマネジメント)などの解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 9, 103-108 (1998)
施肥の理論と具体論、施肥の実際について解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 10, 166-169 (1999)
植物が生長するには、根が土壌中の水分、窒素な ど各種の無機栄養を吸収するが、そのための灌水方法についてその理論と共に解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 11, 26-29 (2000)
植物の養水分吸収は新根の働きに依存するが、その新根を活性化するための土壌づくりの方法について解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn., 11, 80-85 (2000)
新梢の密度と摘心について解説すると共に、果実の量に対する必要葉面積や着果量調節について解説。
岡本五郎:J. ASEV Jpn.,16,80-84 (2005)
ブドウ樹の休眠打破や果実の成熟促進のための樹体への水分ストレスの有効性を科学的に解説。
中山正男:醸協, 88, 654-659 (1993)
品種、気候や土壌の影響など基本的な解説。
Stephen Skelton MW著、ミヨコ・スティーブンソン訳 2020年
Viticulture: An introduction to commercial grape growing for wine production の日本語版。ブドウの植物生理から、ワイン用ブドウの品種、栽培、病虫害などの基本を解説。
シカバック(SICAVAC)著、榎本登貴男 訳
SICAVACはフランス、ロワール中部でブドウ栽培・ワイン醸造に関する分析、コンサルティングなどを行う団体。本書のブドウの植物生理に基づいた適切な剪定理論は、フランス全土のワイン用ブドウ栽培者から支持されているとのことで、長野県ではSICAVACから講師を招いた講習を実施した。
日本ブドウ・ワイン学会監修、2022年
日本の醸造用ブドウの専門家が、品種、栽培地の気象・立地条件から、植え付け、仕立て、製枝・剪定、生理障害・病害虫対策などを分かりやすく解説。
Winkler et al. 著、望月ら・共訳
山梨県ワイン酒造組合発行。
ブドウ栽培学の名著を専門家が翻訳したもの。現在在庫なし、絶版です。ご覧になりたい方は図書館などにお問い合わせ下さい。
今井俊治:創森社 - 2009/8/24
ISBN-13: 978-4-88340-236-6
早期成園化、樹勢安定、高品質化等を目指して開発された、根域制限ベッドで生食用ブドウを栽培する方法の解説書。
(公財)中央果実協会のサイト
世界のワイン用ブドウ栽培の概要、及び近年大きな問題となっている気候変動への対応と持続可能性について、広範な文献調査に基づいてまとめられた調査報告書。
Which winegrape varieties are grown where (Revised Edition), by Kym Anderson and Signe Nelgen, University of Adelaide Press
Adelaide 大学のサイト
世界のワイン用ブドウの栽培について、2015/16年までの国ごとの栽培面積や栽培品種の変化、気象などの広範なデータを図表で示し、考察したe-bookで、無料でダウンロードできる。
山梨県果樹試験場のWEBサイト。
渡辺晃樹:山梨果試研報第13号, 83-94 (2014)
2009年1月~2012年7月の3年6か月に及ぶフランス留学の報告書。
山梨県果樹試験場のWEBサイト。
渡辺晃樹:山梨果試研報第14号, 75-88 (2015)
ブドウ樹の水分ストレス管理がワイン品質に対して重要で、砂質土壌と粘土質土壌の違いによって最適ブドウ品種が異なることを科学的に説明。
斎藤 浩:J. ASEV Jpn., 11, 33-35 (2000)
ボルドーにおける草生栽培と除葉効果の紹介。
WANDS ウォンズのWEBサイト。
ウォンズ 2016年10月号
キャノピーは土中の根系で決まる。開園時にいかに土をコントロールするかだと強調。
植物工場・農業ビジネスオンラインのWEBサイト。
このようなブドウ栽培の仕方もあるという情報。
白石美樹夫、林 秀典、上野俊人
園学研.(Hort. Res. (Japan)) 11 (1) : 127–136.2012.
棚栽培のブドウについて、地面に映る葉の影をデジタルカメラで撮影し、画像処理によって葉面積指数(LAI)を推定する。このLAIに基づいて適正な果房数とし、着果量を直接して高品質なブドウを収穫した生食用ブドウの栽培事例紹介。
金原 啓一
栃木農試研報 No.70 1-38 (2012):Bull.Tochigi Agr.Exp.Stn.No.70 1 38 (2012).
「巨峰」を盛土式の根域制限栽培法でハウス栽培する際の、日射量に基づく灌水管理法の開発、培土量と生育・ブドウ品質の関係、及び秋季施肥窒素の樹体内分布等を明らかにした詳細な研究報告。
島根県の農業技術情報のサイト
各病害虫の概要、被害と診断などの解説、写真も豊富
J. ASEV Jpn., Vol 30, N0. 1, 13-16 (2019)
鈴木 俊二
山梨大学 ワイン科学研究センター
醸造用ブドウのウィルス診断技術とその受託事業化への試みに関する解説記事.
Estimating Leaf Area Index (LAI) in Vineyards Using the PocketLAI Smart-App
Francesca Orlando, Ermes Movedi, Davide Coduto, Simone Parisi, Lucio Brancadoro, Valentina Pagani, Tommaso Guarneri, and Roberto Confalonieri
Lammert Kooistra, Academic Editor
葉面積指数(LAI、総葉面積/栽培面積)は樹勢の指標として重要である。この研究報文では、デジタル画像処理技術を活用した垣根仕立てのLAIを2種類の推定方法を評価した。スマートフォンを用いるPocket LAIは、LAIが1.41までは実測値と高い相関(R2=0.94)を示したが、2.84以上になると精度が低下した。魚眼レンズを用いた方法は相関係数は高いが、全体に実測値よりも高く出る傾向が認められた。
山下 裕之, 林 幹雄:醸協, 104, 230-240 (2009)
日本の気象条件や栽培者の高齢化に対応できる仕立て方の紹介。
三澤彩奈ら:J. ASEV Jpn., 24, 145-152 (2013)
垣根仕立てで得られた小房の甲州のブドウ及びワインの成分値等の報告。
J-STAGEのWEBサイト。
倉藤祐輝:園学研, 7(3), pp. 425-431 (2008)
ブドウの早期成園化と高品質な果実の多収を目的に灌水同時施肥による超密植栽培システムを開発。生育ステージに応じて灌水と施肥を行う方式。
ノーステック財団のWEBサイト。
平川敦雄ら:(公財)北海道科学技術総合振興センター平成25年度「研究開発助成事業」
重粘土の醸造用ブドウ園地における土壌水分環境と生産性および品質との関係解明、暗渠管に比べて低いコストである工法(カッティングソイラ、ハーフソイラ)の違いが土壌水分環境に与える影響を報告。
茨城県農業総合センター園芸研究所のWEBサイト。
根域制限養液土耕栽培において糖度を高くするには窒素施肥量を抑制する方が良いが、葉色や葉柄中硝酸イオン濃度とは相関はみられない。
岡山県農林水産総合センターのWEBサイト。
田村史人ら:岡山県農試研報27, 5-12 (2009)
満開期に第5葉の葉色値が40~44であれば樹の栄養状態として好適であることを報告。
元村佳恵:J. ASEV Jpn.,8,72-78 (1997)
果房が着生している結果枝上の葉からの光合成産物をどのように果房に供給するかを詳細に解説。
愛媛大学農学部附属農場のWEBサイト。
日野昭ら:愛媛大学農学部農場報告, 7-24 (1996)
葉の立体的配列による日射の有効利用に伴い、多くの茉で光合成能が高くなることを報告。
島根県農業技術センターのWEBサイト。
各生育期に葉身のみを分析することによって果実,葉柄,当年枝の5要素(N、P、K、Ca、Mg)含有率の推定が可能。
三重県農業研究所のWEBサイト。
農業技術短観, No.59
近赤外分光分析法により、可溶性糖および炭水化物は748nm、デンプンは1700nmを第1波長として含有量を推定でき、ブドウの冬季の樹体の栄養状態を把握するのに利用可能。
AgriKnowledge
岸本宗和ら:醸協, 112, 442-451 (2017)
新梢時に摘心、花穂切除を行い、高温期が過ぎてから成熟する副梢の果実を利用することで、色素や香気成分を多く含む赤ワインが得られたことを報告。
AgriKnowledge
岸本宗和ら:醸協, 112, 758-764 (2017)
上記技術をカベルネ・ソーヴィニヨン及びメルロに適用したところ、開花~収穫が対照より1か月以上遅くなり、果皮のアントシアニン含量は2倍以上となった。温暖化対応技術の一つとして期待される。
科学研究費助成事業データベースのWEBサイト。
岸本宗和ら:科学研究費助成事業 研究成果報告書
γ-ノナラクトン類及びフラネオール類の含量調査、γ-ノナラクトンの生成機構解析、醸造条件への影響を検討。副梢果房を用いる新たな醸造法を紹介。
J-STAGEのWEBサイト。
西川豊ら:園学研. (Hort. Res. (Japan)) 10(2): 249-253. 2011.
生食用ブドウでの、収穫後の紫外線照射、着果部位の光量、有袋と除袋および収穫時期などが果皮中のレスベラトロール含量に及ぼす影響を報告。
三重県農業研究所 成果情報のWEBサイト。
西川豊:三重県農業研究所 成果情報(農研機構 平成22年度 「関東東海北陸農業」研究成果情報)
果実下方からの光量子束密度が高い位置に結実した果実は、マルチ+除袋で、レスベラトロール含量が高い傾向を示すことを報告。
松本敏一ら:J. ASEV Jpn.,23,134-140 (2012)
白色反射シートをマルチ方式でなく両側カーテン方式による処理は、ブドウの着色効果や果実の品質向上に効果があることを報告。
科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)のWEBサイト。
奥田徹:日食工誌, 64(5), 278-282(2017)
ワイン用ブドウと生食用ブドウの違いを説明すると共に、ワイン用ブドウの香味成分や窒素成分の重要性について解説。
地球温暖化と気候変動の対策情報サイト/農業温暖化ネット
薬師寺博
農研機構 果樹研究所
ブドウは、成熟期の高温によって着色不良になりやすい。着色開始期の果粒を培養することによって、高温安定着色の品種・系統を簡易に判定できることを明らかにした。生食用ブドウを対象とした研究成果を紹介する記事。
農研機構 技術紹介パンフレット
将来、地球温暖化が進んだ場合、国内の巨峰等の着色不良発生地域を予測し、詳細なマップで示した。赤ワイン用ブドウにも参考に。
Assessment of deterioration in skin color of table grape berries due to climate change and effects of two adaptation measures
J-STAGE
T. Sugiura, M. Shiraishi, S. Konno, A. Sato: Journal of Agricultural Meteorology 75, 67-75, 2019
上記予測マップ作製の基となる報文。温暖化への適応策として、ハウス栽培による生育時期の変化、及び高温条件でも着色の優れる品種への植え替えの効果を検証している。
Prediction of acid concentration in wine and table grape berries from air temperature
J-STAGE
T. Sugiura, A. Sato, M. Shiraishi, H. Amemiya, H. Ohno, N. Takayama, N. Miyata, T. Sakaue, S. Konno: The Horticulture Journal, 89, 208-215, 2020
収穫の40-50日前の気温がブドウ果汁の滴定酸度との負の相関が高いことを明らかにした。ワイン用ブドウでは、この間の平均気温と滴定酸度には負の相関が認められたが、生食用ブドウでは24℃以上で横ばいとなった。
Effect of Vine Water Status on Yield Components, Vegetative Response and Must and Wine Composition
Pilar Baeza, Pedro Junquera, Emilio Peiro, josé Ramón Lissarrague, David uriarte and Mar Vilanova
IntechOpen, Advanced in Grape and Wine Biotechnology, 2019
Vitis vinifera L.は乾燥に強く、伝統的な雨水による栽培が非常に多様な気象条件のもとで行われているが、灌漑が一般化しつつある。灌漑の結果は水不足の時期、長さ、強度に依存する。芽吹きから開花まで、新梢の成長は水ストレスに敏感だが、生殖成長は殆ど影響を受けない。結実中の水不足は、子房細胞の増殖と拡大に影響し、成熟中の水分ストレスは果実の成長を制限し収量を減少させる。マストの糖含量と水の間には正の直線関係がある。アントシアニンとフルーティーなアロマの生合成は乾燥により強化される。適度な灌漑処理からのワインが最高のスコアであった。ブドウ生育期が乾燥状態となる地域での報告のレビュー。
Vine Water Status is a Key Factor in Grape Ripening and Vintage Quality for Red Bordeaux Wine. How can it be Assessed for Vinyard Management Purposes?
C. Van Leeuwen, O. Tregoat, X. Choné, B. Bois, D. Pernet and J.-P. Gaudillére
ENITA de Bordeaux, UMR EGFV, ISVV,
J. Int. Sci. Vigne Vin, 2009, 43, n°3, 121-134
ブドウ果実の成熟中の水分状態は赤ワイン用品種の着色や糖濃度などの品質に大きく影響する。水分状態を測定するために適した方法を検討した研究報文で、畑レベルの現在の状態を知るには夜明け前の葉の水ポテンシャルよりも、昼間の葉柄の水ポテンシャルの方が適していた。また、栽培シーズンの水分状態は畑レベルでは糖分の炭素安定同位体比が、地域レベルでは水分バランスモデルにより適切に推定できた。
カーボンニュートラルに向けた農業とブドウ栽培(WEB公開前)
佐々木宏樹:醸協、118 (10)、679-687 (2023)
農業やワイン生産は地球温暖化の影響を強く受ける一方で、温室効果ガスの排出源の一つでもある。地球温暖化に対する国際的な動き、日本の対応、並びにカーボンニュートラルに向けた今後の展望についての解説。
Adapting Viticulture to Climate Change
Etienne Neethling, Gérard Barbeau, Cyril Tissot, Mathias Rouan, Céline Le Coq,
Renan Le Roux, Hervé Quénol
LIFE ADVICLIM
気候変動に対しブドウ栽培がどのように対応すべきかを検討した、EUのプロジェクト報告。栽培者の意思決定を支援する目的でまとめられたガイダンス。
Part 1 ブドウ栽培における気候変動
Part 2 気候変動に対する適応戦略 短期・中期・長期
Part 3 ブドウ栽培に対する気候変動の影響のシミュレーション
Grapevine phenology in France: from past observations to future evolutions in the context of climate change
Iñaki García de Cortázar-Atauri, Eric Duchêne, Agnes Destrac-Irvine, Gérard Barbeau, Laure de Rességuier, Thierry Lacombe, Amber Kaye Parker, Nicolas Saurin, Cornelis van Leeuwen
OENO One, Vol 51 No 2 (2017)
フランスを中心に行われている、季節の変化に伴うブドウの開花、ベレゾンなどの生育期の研究(生物季節学)と、気候変動への対応をまとめた総説。フランスでは35年前から各地のINRAでブドウの生育調査が行われており、これらを統合したデータベースが作成された。これを用いて萌芽、開花、ベレゾンの時期などが徐々に早くなっていることが示され、生育予測モデルが作成された。今後の気候変動への対応として、剪定時期や台木などの栽培上の工夫や、クローン、品種の選択によって熟期を遅らせるような工夫もあるが、高い気温に適した品種の育種も必要である。
鬼頭昴浩ら:J. ASEV Jpn., 29, 23-31 (2018)
日本各地のアメダスのデータから、品種選択の指標となる Winkler Index (Region I~V)、Huglin Index などを算出し、地図上に表示。
予測を含めた気象データを活用して、ワイン用ブドウの生育を予測するシステム。詳細は成果マニュアルを参照。
広田知良・丹羽勝久・山﨑太地・石塚創・楠茂幸・齋藤伝・平川敦雄・根本学・西岡一洋・星典宏・田中博春・佐藤知至・高橋裕美子:生物と気象、16、D6-23、2016
日本農業気象学会のサイト
標題のセミナーで行われた、生産者と研究機関からの講演の内容及び総合討論の紹介記事。カンキツで実施されているマルチとドリップ灌漑を組み合わせたマルドリ方式の紹介やセンシング技術の紹介を含め、多方面からの議論が行われた。
Prediction of climatic suitabilit for wine grapes production under the climatic change in Hokkaido
M. Nemoto, T. Hirota, T. Sato: Journal of Agricultural Meteorology, 72, 167-172, 2016
J-STAGE
過去及び今後予想される夏季の平均気温及び降水量、並びに冬季の平均最低気温から北海道におけるVitis viniferaの栽培適地を求めたところ、1990年から2010年までの間に栽培適地が道東を中心に広がり、2050年には標高の低い地域のほぼ全域にまで広がることが示された。
The concept of terroir in viticulture
Cornelis van Leeuwen, Gerard Seguin
Journal of Wine Research 17(1):1-10, 2006
神秘的な響きを持つ”テロワール”の概念についての科学的な総説。涼しくなってから完熟する品種を選定することが重要で、赤ワイン用品種には樹勢を抑える穏やかな乾燥ストレスや制限された窒素供給となる土壌や気象条件が適している。白ワイン用品種には香気成分のポテンシャルを高めるため、水分や窒素分の制限が穏やかな条件が適している。また、ワイン産地の形成には人の関与が大きいことを指摘する。
きた産業株式会社のWEBサイト。
後藤奈美:きた産業 Sake Utsuwa Research/11 XI, 8/16~9/16
テロワールについて海外の研究を紹介。
大阪市立科学館のWEBサイト。
ブドウ栽培、光合成に最も必要な光の量のイメージづくりの役立つデータ。
エペ・フゥヴェリンク、タイス・キールケルス著、中野明正、池田英男監訳
2017/3/21 ISBN-13: 978-4-540-16119-3
世界の農業研究をリードするオランダのワーヘニンゲン大学の著者らが執筆で、高度な内容をわかりやすく解説。ブドウ栽培に参考になる。
Fungus resistant grape varieties as a suitable alternative for organic wine production: Benefits, limits, and challenges
K. Pedneault and C. Provost
Scientia Horticulturae 208: 54-77, 2016
近年育種された耐病性品種は以前のハイブリッドとは異なり、遺伝子の大部分はV. viniferaに由来する。これらの品種の樹勢、耐寒性、果汁成分、フェノール化合物組成、栽培・醸造方法の影響などを一覧にまとめ、そのメリットや限界(すべての病害に耐性ではない点など)を特に有機栽培の視点から考察する。
INRA-ResDur: the French grapevine breeding programme for durable resistance to downy and powdery mildew
C. Schneidera, C. Onimus, E. Prado, V. Dumas, S. Wiedemann-Merdinoglu, M.A. Dorne, M.C. Lacombe, M.C. Piron, A. Umar-Faruk, E. Duchêne, P. Mestre and D. Merdinoglu
Acta Hortic, 1248. ISHS 2019
フランスでは2000年にベと病・うどんこ病耐性品種の育種プログラムがスタートし、複数の耐性遺伝子を持つ耐性が破られにくい品種で、栽培特性やワインの品質に優れた品種の育種が行われた。その概要の解説。
雨宮秀仁・三森真里子・手塚誉裕・宇土幸伸・三宅正則・上野俊人・小林正幸・近藤真理・齊藤典義・ 齋藤寿広・別所英男
山梨果樹試研報告第17号、1-10、2020
冷涼地向けに育種された早生の白ワイン用品種、コリーヌヴェルト(シャルドネ×ケルナー)の栽培特性及び醸造特性の報告。
三森真里子・雨宮秀仁・上野俊人
山梨果樹試研報第17号、11-20、2020
2009年にフランスから導入されたシャルドネ、メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルドの計12系統について、2014年からの生育、果実品質、及びワインの分析値、官能評価値の報告。
ブドウ品種の解説など。
高田清文ら:醸協, 109, 624-631 (2014)
川上善兵衛氏による育成品種とOIV登録データの紹介。
DNA解析で明らかになった「甲州」のルーツを紹介。
後藤(山本)奈美:J. ASEV Jpn.,21,118-123 (2010)
耐病性、育種、ゲノミクスからメタボロミクスまでのオミクス研究、遺伝資源、育種などの、ワインブドウに関する幅広い解説。