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ワイン製造技術者によって書かれた実践的な技術書の改訂版。山梨県外からも購入可能。
山梨大学でワイン科学研究センターの教授をされていた(現在名誉教授)横塚弘毅先生による連載の基礎講座。
横塚弘毅:醸協、94、11、868-878 (1999)
ワイン原料とブドウの処理について解説。
横塚弘毅:醸協、94、12、956-965 (1999)
ワインと発酵、ワイン概論について解説。
横塚弘毅:醸協、95、1、17-22 (2000)
赤白のテーブルワインの発酵、マロラクティック発酵について解説。
横塚弘毅: 醸協、95、2、91-101 (2000)
ワインの安定化処理、 ワインのブレンディング、貯蔵・熟成およびボトリングについて解説。
横塚弘毅: 醸協、95、3、172-182 (2000)
タンク内や樽内の貯蔵と熟成を取り扱い、瓶熟成はボトリングの項で解説。
横塚弘毅:醸協、95、4、235-243 (2000)
世界で、日本で最近10年間に話題となったいくつかのトレンデ ィーなテーブルワインの製造の基本技術について解説。
明治学院大学 機関リポジトリ
蛯原 健介:明治学院大学法学研究、109、1-24(2020)
日EU 経済連携協定(EPA)によって変わる日本ワインの輸出や醸造法、添加物の使用について、法的規制や手続面からの解説。
AgriKnowledge
村上安生:醸協、115、125-131、2020
日EU・EPAによって、国内では認められていなかった多くの添加物の使用が段階的に認められている。ワインの添加物に関する法律や新たに承認される添加物の概要についての解説。
AgriKnowledge
飯島隆:醸協、113、588-612、2018
日EU・EPAで日本ワイン輸出のハードルが大幅に下がるとともに、それまで国内では認められていなかった多くの添加物の承認が進められることとなった。その背景や意義を解説。
田中 淳・大江吉彦・樫尾篤樹・岡田佳那子・伊豆英恵・日下一尊・渡邊悠志・髙橋正之・伊藤伸一・川田惟樹・荒川晃大・山口一真・竹之下眞喜子・北村哲也・坂本光一:醸協、117、534-550、2022
日EUEPAに基づいて、新たにワインに使用できることとなったメタ酒石酸やPIV/PVP共重合体などの物品について、その効能や使用時期・方法、食品衛生法上及び酒税法上の取扱いについてまとめた解説。
葡萄酒技術研究会のサイト
標題の2品目について、国税庁の見解を紹介する記事。
Wine labelling with the list of ingredients: context, consumer’s perception and future challenges
Stéphane La Guerche, Mario Tomasoni, Ignacio Sanchez-Recarte, Pierre-Louis Teissedre, Riccardo Cotarella, Tatiana Svinartchuk, Jean-Claude Ruf. IVES Technical Reviews, 2022.7160
2023年12月から、EU規則でワインの原材料リストと栄養表示が義務化されることを受け、添加物等がラベル表示された場合の消費者の反応を調査した。月に1回以上ワインを飲む10カ国の男女11,533人に対する意識調査をまとめている。
新たに食品添加物としての指定又は規格基準の改正が行われ、その後ワインへの使用が認められた物品に関する厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の資料は次のとおり。有効性及び安全性に関する資料とともに、海外での使用状況などについても記載されている。
The effects of fermentation temperature on the composition of red wines
The Australian Wine Research Institute, Technical Review No. 252
赤ワインのフェノール化合物、特に赤色を強くするために、初期低温醸しやセニエなど種々の方法があるが、総フェノールやアントシアニン、タンニン及び安定化した赤色色素を増加させるには、発酵温度を30~32℃にすることは、比較的リスクが少なく、費用対効果の高い方法である。
Technical notes: Exploring the effects of extended post-fermentation maceration
The Australian Wine Research Institute, Technical Review No. 238
赤ワインの発酵終了後も醸しを続けるロングマセレーションに関する解説。醸し期間を長くすることで、総フェノールは増加するがアントシアニンは減少することが知られている。その他、多糖類の増加や官能特性に及ぼす影響も報告されているが、品種や収穫年によって効果が異なる。苦味や過度の渋味、微生物汚染のリスクもあるため、慎重な実施やブレンドの検討が望ましい。
Winemaking treatment - whole bunch fermentation
The Australian Wine Research Institute
Pinot Noir などの赤ワインで行われることがあるホールバンチ(除梗・破砕をしないブドウ果房)発酵の特徴と注意点を簡潔に解説。
Spotlight on whole-bunch fermentation
The Australian Wine Research Institute
ホールバンチ発酵に関する総説で、上記記事の引用文献。ホールバンチ発酵によって部分的にカーボニックマセレーションと同様の効果が期待されるが、梗が十分に木質化したブドウを用いることが重要である、などの点を解説。
Winemaking treatment - Amber wine
The Australian Wine Research Institute
オレンジワインの製造に関する簡潔な解説。オーストラリアのGI Orangeと区別するため、アンバー・ワインと称している。タンニンの渋味やテクスチャー、複雑さを特徴とし、未熟なブドウや酸とフェノール化合物の両方が多い品種は向かないとされる。オレンジワインの醸造中には、pHが0.2程度高くなることがあり、リスクとしては過剰な苦味、渋味、酸化及び微生物汚染が挙げられる。なお、オレンジワインの製造については、「山梨県ワイン製造マニュアル(2020年版)」にも詳しい記載がある。
Review Enzymes for Wine Fermentation: Current and Perspective Applications
Fermentation, 4(3), 52 (2018)
Harald Claus, and Kiro Mojsov
ワイン醸造で使用される各種酵素剤、及び醸造微生物が持つ酵素活性について、その作用や効果について紹介する総説。酵素剤のうち、ペクチナ―ゼ(搾汁効率の向上・清澄化、ワインの清澄化)、ウレアーゼ(カルバミン酸エチル生成の原因となる酒類中のウレアを分解)、リゾチーム(乳酸菌などの抑制)、β-グルカナーゼ(ワインの清澄化) プロテアーゼ(清澄化)は我が国でもワインの製造または保存時の使用が認められているが、グリコシダーゼ剤は認められていない点に注意。現在研究中の酵素についても紹介されている。
横森洋一:醸協、85、610-616 (1990)
30年近く前の報告だが、ワインの醸造のポイントが簡潔に紹介されている。乾燥酵母の使用法の具体的な記載も。
大塚謙一:醸協、81、781 (1986)
シュール・リー製法のノウハウを解説。
山梨県産業技術センターのWEBサイト。
小松正和ら:山梨県工業技術センター 研究報告 No.28 (2014)
全房仕込みや酒石酸添加,MLF の方法等によるワイン成分への影響を検討した結果の報告。
小林弘憲ら、J. ASEV jpn.,17,2,75-80 (2006)
甲州ワイン中のフェノール臭低減のための醸造法を報告。
小林弘憲法ら:J. ASEV Jpn.,18,22-27 (2007)
リンゴのコンポートに例えられる香気成分、ダマセノン含量を高める醸造方法の検証。
日本生物工学会のWEBサイト。
田村隆幸:生物工学、90、231-234 (2012)
料理と酒類を合わせて楽しむ場合においてその組み合わせの品質を向上させる製造技術開発に取り組んだ例を紹介。
国税庁のWEBサイト。
国税庁:令和5年3月
亜硫酸使用に関しては食品衛生法の基準に従って使用し記録を残すこと。
OIV collective Expertise Docment: SO2 and Wine: A Review
OIVのTechnical Document
OIVの食品安全専門家チームによるSO2に関するレポート。FAO/WHOや欧州食品安全性機関による安全性評価の結果、各国の規制値や市販ワインの分析値がまとめられている。
OIV Information Report on Water in Oenology
OIVのTechnical Document
ワイン醸造中に加えられる水について、各国の規定等を収集・比較したレポート。健全な発酵を促進するため、発酵中の加水が認められている国や地域から、乾燥酵母や加工助剤に使用する水の量が規定されている国までさまざまである。
シャンパーニュ委員会初の外国人研修生となった山梨県産業技術センター、恩田匠氏による解説の連載。日本語では初めて紹介される技術情報が多くある。
恩田匠:醸協、109、168-180 (2014)
異なるブドウ品種、異なる区画から収穫されたブドウを調合し各社独自の香味を作り上げる芸術的なアサンブラージュの世界を解説。
恩田匠:醸協、110、306-317 (2015)
厳しい気候風土で栽培されるブドウの栽培法とその工夫について解説。
恩田匠:醸協、111、286-301 (2016)
通常の白ワインの果汁調製とは異なる考え方があり、果汁の分画に違いがあることを紹介。
恩田匠:醸協、111、712-727 (2016)
シャンパーニュの原酒ワインは,シャンパーニュ製造に特化して造られていることを紹介。
AgriKnowledge
恩田匠:醸協、113、212-225 (2018)
EUにおけるスパークリングワインの定義、及び瓶内二次発酵の準備から熟成までの工程の解説。
AgriKnowledge
恩田匠:醸協、113、296-307 (2018)
ルミアージュ以降の工程の詳細な解説、及びラベルの表示、シャンパーニュの成分などの紹介。
AgriKnowledge
恩田匠:醸協、114、2-11 (2019)
ロゼシャンパーニュの製造現場で得られた知見と、AOCの規則についての解説。アサンブラージュを重視する方法と醸しを重視する方法がある。
AgriKnowledge
恩田匠ら:醸協、112、836-848 (2017)
シャンパーニュ製成法に従い、瓶内二次発酵法によるスパークリングワイン製成試験を実施。製造工程における成分の推移が‘甲州’と‘シャルドネ’で異なること明らかにした。
AgriKnowledge
恩田匠ら:日本食品科学工学会誌、66、459-468 (2019)
ロゼスパークリングワインの製造の際、‘ピノ・ノアール’の直接圧搾法では良好な色調が得られないが、‘マスカット・ベーリーA’の場合は直接圧搾法で製成した原酒ワインから、良好な色調のロゼスパークリングワインが得られることを実証。
AgriKnowledge
恩田匠ら:醸協、114、281-286 (2019)
高酸度・低㏗のワインはマロラクティック発酵が起きにくいが、コ・イノキュレーション法によって安定して誘導することに成功した。
AgriKnowledge
恩田匠ら:醸協、114、457-461 (2019)
甲州のスパークリングワインの酒石安定化に、カルボキシメチルセルロース(CMC)の有用性を確認した報告。CMCは冷却エネルギーの削減効果が期待される。
喜多常夫:J. ASEV Jpn.,23,155-166 (2012)
瓶内二次発酵スパークリングワインの製造設備等を豊富な図で解説。
Contribution of Yeast in Wine Aroma and Flavour
Minas Mina and Dimitrios Tsaltas
DOI: 10.5772/intechopen.70656
酵母による香気成分の生成に関するレビュー。酵母の代謝によるエステルや高級アルコール、アセトアルデヒドやダイアセチルの生成、チオールやテルペンの前駆体からの生成、温度や資化性窒素(YAN)、果汁の濁度、酵母添加量や酵母の自己消化が及ぼす影響を幅広く紹介している。
Yeast: how wines get made
フランスINRAで行われたワイン酵母の研究の紹介。ブドウに付いているS. cerevisiaeはスズメバチによって運ばれること、ワイン酵母は地中海沿岸に生える樫の木の酵母が祖先と考えられること、高グリセロール・低アルコール生産酵母の育種等が紹介されている。
Nitrogen Management is Critical for Wine Flavour and Style
Maurizio Ugliano, Paul A. Henschke, Markus J. Herderich, Isak S. Pretorius
Australian and New Zealand Wine Industry Journal, 22 (6), 24-30, 2007
資化性窒素分を適正に調整することは、発酵を順調に進めるだけでなく、香気成分の生成にも大きな影響を与える。H2S生成は、窒素枯渇ストレスに関するもっともよく知られた例である。一方、窒素分過多も酢酸や酢酸エチルの増加など、好ましくない影響がある。オーストラリア・ワイン研究所による解説。
ask the AWRI: Winery nutrient management in a DAP-limited world
Australian & New Zealand Grapegrower & Winemaker に掲載されたAWRIの記事。出版社の許可を得てAWRIのサイトに掲載されたもの。
ワイン醸造に広く用いられるリン酸水素二アンモニウム(DAP)が世界的に不足し、価格が高騰するなかで、効率的に窒素管理を行うための実用的な解説。アミノ酸のみの複合発酵助成剤で大幅な窒素分の増加は難しい。果汁中のアンモニウムは酵母添加24時間で枯渇するが、この時期は酵母の対数増殖機に当たるため、ここでDAPの添加を行うことが望ましい、など。
Wine Fermentation
The Australian Wine Research Institute
オーストラリア・ワイン研究所による最新の発酵管理に関する情報。乾燥酵母の使用方法、発酵が止まった時の救済方法、など。Fact Sheetや専門誌の記事をまとめたサイト。ワイン醸造における手法と管理の原理について、現場に役立つ様々な情報が掲載されている。
Fermentation Management Practices
UC Davis, Viticulture & Enology
カリフォルニア大学デイビス校によるワイン醸造に関する一連の解説のうち、発酵管理に関する解説。発酵に影響を与える酵母添加の時期や量、SO2、ワイナリーのサニテーション、窒素やそのほかの栄養成分の添加時期、温度、酸素、pHや発酵のモニタリングについて、醸造現場の参考になる解説。
Best Fermentation Management Practices
Anita Oberholster
UC Davis
カリフォルニア大学デイビス校がまとめたパワーポイントのPDF版である。Brix調製、YAN(酵母資化性窒素)調製、TA(酸度)調製、pH、SO2調製、有機酸組成と、それらの意義、原理について説明する。また発酵管理におけるYAN管理、温度管理、酸素管理の方法について、醸造現場で必要な知識を説明する。
Environmental Stress and Aroma Production during Wine Fermentation
S.C. Fairbairn; A.Y. Smit; D. Jacobson; B.A. Prior; F.F. Bauer
S. Afr. J. Enol. Vitic. 35, 168-177, 2014
高浸透圧ストレスでは、グリセロールおよび酢酸の生成が高まる菌株が多かった。高浸透圧+温度ストレス条件は、特に温度が一時的に急激に上昇したり下降する時に、エステル、高級アルコールおよび揮発性脂肪酸が大きく変化した。これらの変化は各菌株およびストレス処理によって著しく異なり、発酵条件がワインの香気成分の生成を著しく変えることを示した研究報文。
Procedure for Rescue of Stuck or Slow Alcoholic Fermentation
The Australian Wine Research Institute
発酵が停止したり、停止しそうになったりした時に、酵母を通期培養して添加する救済方法の具体的な手順の紹介。アルコール分が12%以上で残糖が5-10g/L以上ある場合に推奨される。それ以下の場合は、果汁で乾燥酵母を活性化して添加する方法の方が簡便である。オーストラリア・ワイン研究所(AWRI)のファクトシート。
Yeast Stress Response and Fermentation Efficiency: How to Survive the Making of Wine - A Review
EF. Bauer and LS. Pretorius
S. Afr. J. Enol. Vitic., Vol. 21, Special Issue, 2000, 27-51
ワインの醸造中に酵母が遭遇する種々のストレス(各種栄養成分、エタノール、酢酸、CO2、pH、温度、浸透圧など)の概要と、これらのストレスに対応するために酵母細胞内で起こる分子生物学的な反応(ストレスの検知、シグナル伝達、ストレスタンパク質の発現など)を紹介する総説。
Understanding Problem Fermentations - A Review
S. Malherbe, F.F. Bauer, M. Du Toit
Stellenbosch University, South Africa
ワインのアルコール発酵とマロラクティック発酵のトラブルの原因となる各種要因(栽培や醸造方法の影響、各種阻害成分、温度、pH、共存微生物等)と発酵状態を監視するための新しい分析方法(微生物検査のためのPCR、成分分析のためのHPLC、各種GC、NMR、IR、味覚・嗅覚センサー等)を紹介する総説。
Problem fermentation
UC Davis
ワインの発酵の進行に関わるトラブル(スタートが遅い、発酵全体が遅い、途中で遅くなる等)について、それぞれのタイプについて考えられる原因と、その状態に応じた発酵再開に向けた手段の解説。発酵環境と酵母の状態の関係が良く理解できる。
Biotechnological Impact of Stress Response on Wine Yeast
E. Matallana, A. Aranda
Lett Appl Microbiol. 2017 Feb;64(2):103-110.
ワイン酵母の生産やワイン醸造中に遭遇する各種のストレスについて概説し、実験室酵母で明らかにされているストレスレスポンス(遺伝子、代謝成分)がワイン酵母でどのように機能するかを紹介するミニ・レビュー。
Control of Alcoholic Fermentation in Winemaking: Current Situation and Prospect
J.M. Sablayrolles
Food Research International 42(4):418-424, May 2009
ワイン醸造におけるアルコール発酵の制御について紹介した総説。執筆時点で解明されていた酵母菌株、温度、栄養分(窒素、酸素、Mg、ビタミン類)などの要因がアルコール発酵速度やワインの品質に及ぼす影響を紹介し、今後のアプローチとして酵母の育種、混合培養、発酵のモニタリングとコントロール、モデリングなどに触れている。
志賀樹、乙黒美彩、山田潮路、安蔵正子、大村春夫、岸本宗和:J. ASEV Jpn., 31, 133-139, 2020
乾燥酵母を用いない、いわゆる自然発酵では不完全な発酵やオフフレーバーが問題となりやすいが、拡大培養を繰り返して酒母を製造するスケールアップ法をとっているワイナリーでは S. cerevisiae の占有率が高まることを明らかにした。
Controlled Mixed Culture Fermentation: A New Perspective on the Use of non-Saccharomyces Yeasts in Winemaking
Maurizio Ciani, Francesca Comitini, Ilaria Mannazzu, Paola Domizio
FEMS Yeast Research Volume10, Issue2 March 2010 Pages 123-133
最近注目されているSaccharomycesと非Saccharomyces属酵母のコントロールされた混合培養についてのミニ・レビュー。高糖濃度での酢酸生成が少なくなるTorulaspora delbrueckiiやリンゴ酸を減少させるSchizosaccharomyces pombe、ソーヴィニヨン・ブランのチオール系香気成分を向上させるPichia kluyveriなどの効果や、微生物の相互作用について紹介する。
Unraveling the Enzymatic Basis of Wine “Flavorome”: A Phylo-Functional Study of Wine Related Yeast Species
Ignacio Belda, Javier Ruiz, Ana Alastruey-Izquierdo, Eva Navascués, Domingo Marquina, and Antonio Santos
J. Front Microbiol, v.7; 2016, PMC4718978
非サッカロミセス酵母は、ワイン発酵の初期段階に関与する多様な酵母群で、発酵力は低いが、近年、ワインの香気特性の発現への効果が報告されている。そこでブドウ園からの単離株770株について、種の同定と各種酵素活性の分析を行い、種間及び種内の酵素活性の違いを示した。この結果は、ワイン醸造に非サッカロミセス酵母をサッカロマイセスと併用する技術開発にも貢献すると考えられる。
Lachancea thermotolerans yeast and its role in winemaking
Evodia Setati
Aug 1, 2020 Oenology research, Winetech Technical
非Saccharomyces酵母のL. thermotoleransを紹介する記事。この酵母は、口当たり、フローラルノート、フルーティーさ、フレッシュさを高め、乳酸の生成に加え、2-フェニルエタノール、2-フェニルエチルアセテート、エチルラクテートなどの発酵由来の代謝物を通じてワインのアロマとフレーバーに貢献する。さらに、モノテルペンとチオール系アロマの発現を高めるβ-グルコシダーゼとβ-リアーゼを生成する、と報告されている。
Contribution of non-Saccharomyces yeasts to wine volatile and sensory diversity: A study on Lachancea thermotolerans, Metschnikowia spp. and Starmerella bacillaris strains isolated in Italy
Renato L. Binati, Wilson J.F. Lemos Junior, Giovanni Luzzini, Davide Slaghenaufi, Maurizio Ugliano, Sandra Torriani
International Journal of Food Microbiology, 318: 108470 (2020)
非Saccharomyces酵母のLachancea thermotolerance, Metschnikowia spp., Starmerella bacillaris 各3株をそれぞれS. cervisiaeと併用したワインの成分的な特徴を比較した報文。3種の酵母はそれぞれ異なる特徴を示し、S. cervisiae単独で醸造したワインとは官能的にも明確に識別された。
(Opinion) Wine yeat terroir: separating the wheat from the chaff-for an open debate
Micoorganisms, 8, 787 (2020)
ハイスループットなシーケンス技術を用いて、土壌や環境中の微生物とマストの微生物の関連を示す研究が各地で行われ、”微生物テロワール”の概念がもたらされたが、その解釈には議論が多い。様々な研究を紹介し、この概念を証明/否定するには、実験的な検証が必要であると指摘したオピニオン記事。
きた産業株式会社のWEBサイト。
後藤奈美:きた産業 Sake Utsuwa Research / 08 XI
健全なアルコール発酵に必要な窒素分と酸素の説明。注:フォルモール窒素の分析にホルマリンを用いる場合は、労基署への届出などが必要。ホルマリンを用いない方法は分析の項目を参照。
Active dry wine yeast (ADWY) rehydration
The Australian Wine Research Institute
乾燥酵母を温水で戻し、果汁・果醪に添加して発酵を誘導する際の作業や温度調整の注意点が、具体的に説明されている。
山中秀樹、横森洋一、清水健一:ASEV Jpn. Rep.,2,18-22 (1991)
発酵を担うワイン酵母の良否が、製成ワインの品質の重要な決定因子であることを報告。
山中秀樹、横森洋一、清水健一:ASEV Jpn. Rep.,2,88-93 (1991)
ワイナリーにおける実際の酒母立ての方法や注意事項について解説。
北野一好:醸協、91、92-96 (1996)
乾燥酵母や乾燥乳酸菌の製法から実際の取扱方法について解説。
久本雅嗣ら:J. ASEV Jpn., 21, 112-117 (2010)
フェノール性異臭を生産せず、エステル生産能の高い市販ワイン酵母の選抜試験結果。
JEONG Seok Tae、後藤(山本)奈美:J. ASEV Jpn., 12, 1, 10-20 (2001)
市販ワイン酵母において、A520 at pH 0.25と、A420、総フェノール及びフラボノイド・フェノール間に正相関、製成酒の亜硫酸濃度とアセトアルデヒド濃度間に正相関を報告。
岸本宗和ら:醸協、93、3、231-237 (1998)
S. bayanus は S. cerevisiae に比べ、グリセロール、リンゴ酸、コハク酸、β-フェネチルアルコール、チロソール、酢酸β-フェネチル生成量が多く、酢酸生成量が少ない傾向。
CiNiiのWEBサイト。
篠原隆:山梨大学工学部研究報告 第51号 (2002)
「ワインの発酵と微生物学」の研究について、ワインの芳香成分の生成ならびにワイン酵母の育種を中心にその概要を紹介。
篠原隆:J. ASEV Jpn., 8,2,119-126 (1997)
ワイン酵母の選択と育種研究について紹介。
Control of Malolactic Fermentation in Wine. A Review
R, Bauer,, Leon M.T. Dicks
South African Journal for Enology and Viticulture 25, 74-88, 2004
マロラクティック発酵(MLF)の制御に関する総説。MLFに影響する要因(pH、エタノール濃度、温度、SO2、糖類、アミノ酸、脂肪酸、フェノール化合物、残留農薬等)から、MLFを予防する技術(リゾチームや二炭酸ジメチルの効果、バクテリオシンの研究)、バイオリアクターの研究紹介まで。
Troubleshooting Guide for Malolactic Fermentation Management
Wines & Vines
マロラクティック発酵を行う際に注意すべき点、トラブルの原因について、2ページ程度で簡潔に述べている。現場で参考にできる。
恩田匠:醸協、110、628-635 (2015)
MLFの解説と各種市販スターターの比較試験の報告。
Preparation of a malolactic fermentation (MLF) starter culture using freeze dried bacteria
The Australian Wine Research Institute
MLFの誘導が困難な場合に有効な、凍結乾燥菌体から前培養液を作成し、ワインに順応させる方法の紹介。
きた産業株式会社のWEBサイト。
後藤奈美:きた産業 Sake Utsuwa Research / 09 V
MLFを起こしたいとき、起こしたくないときの処理とペーパークロマトグラフィーによるリンゴ酸、乳酸検出方法の説明。
(一社)葡萄酒技術研究会のサイト
果実酒及び甘味果実酒にマロラクティック発酵助成剤の使用が認められたこと、そのメリットなどを簡潔に紹介。
マロラクティック発酵助成剤(不活性酵母製剤)の概要や使用方法を説明する製造・販売業者のパンフレット。
Lactobacillus plantarum, a new biological tool to control malolactic fermentation: A review and outlook
S. Krieger-Weber, H.M. Heras, C. Suarez: Beverages, 6, 23, 2020
マロラクティック発酵(MLF)乳酸菌としては Oenococcus oeni がメジャーである。しかし、Lactobacillus plantarum の中にはワイン程度のアルコール分及び亜硫酸レベルに耐性を示す菌株があり、温暖化の影響でワインのpHが高くなる傾向のなか、L. plantarum がMLFを担う例が増えている。L. plantarum はホモ乳酸発酵をするため、糖から酢酸を生成する恐れがなく、アルコール発酵終了前にMLFを終了させる co-inoculation にも適している。
篠原隆: 醸協、96、3、182-188 (2001)
揮発性フェノールによる異臭の生成には S.cerevisiae と野生酵母の Brettanomyces が関与するが、ワイン酵母の揮発性フェノール生産性について検討。
AgriKnowledge
恩田匠、小松正和:日本食品保蔵科学会誌、44、285-292 (2018)
醸造用ブドウから市販ワインまで、フェノール性異臭(フェノレ)生成酵母の分布を調査したところ、Brettanomyces 属酵母の他、果実由来の酵母 Meyerozyma caribbica がフェノレを生成することを発見した.
Controling Brettanomyces during winemaking
オーストラリア・ワイン研究所(AWRI)のファクト・シートの1つ。赤ワインにフェノール性異臭をもたらすBrettanomycesの生育には、残糖、pH、SO2、樽のサニテーション等、複数の要因が関与するため、多面的なアプローチが必要。MLF終了時が最も汚染しやすいので、MLF終了後早期にまとまった量のSO2を添加する(少量ずつ複数回ではなく)ことが有効。
山梨県産業技術センターのWEBサイト。
恩田匠ら:山梨県工業技術センター 研究報告 No.28 (2014)
フェノレ原因菌の除去にキトサン系のおり下剤が有効で、酸度管理と亜硫酸の適正利用でフェノレ発生のないワイン製造を実現したことを報告。
Effectiveness of chitosan preparations against Brettanomyces bruxellensis grown in culture media and red wines
B. Petrova, Z.M. Cartwright, and C.G. Edwards: J. Int. Sci. Vigne Vin 50, 49-56, 2016
カビ由来のキトサン製剤は赤ワイン中の Brettanomyces を減少させる効果があったが、完全に殺菌するわけではなく、貯蔵後に菌数の再増加が認められた。
Chitosan of fungal origin as a natural tool to fight Brettanomyces
キトサンの製造方法及び Brettanomyces に対する効果の解説。キトサン製剤の製造元のパンフレット。
増子敬公:醸協、107、217-223 (2012)
ワイナリーの洗浄とサニテーション方法について、実用的な解説。
Fact Sheet: Avoiding spoilage caused by lactic acid bacteria
The Australian Wine Research Institute, Fact sheet
乳酸菌によって引き起こされる主なワインの欠陥(酸敗、ゼラニウム臭、ネズミ臭など)と、それらを回避する実用的な情報を簡潔にまとめた解説記事。
Chemical options for microbiological stability
The Australian Wine Research Institute
有害微生物の増殖を防ぐため、瓶詰時には一般にSO2濃度の調整とろ過が行われるが、SO2とともに用いることができる二炭酸ジメチル(DMDC)とソルビン酸の効果や注意点などの簡潔な解説。
Evaluation of the inhibitory effect of dimethyl dicarbonate (DMDC) against wine microorganisms
A. Costa, A. Barata, M. Malfeito-Ferreia, V. Loureiro: Food Microbiology 25, 422-427, 2008
DMDCのワイン微生物に対する効果を調べた報文。500 CFU/mLの Dekkera (Brettanomyces) bruxellensis や Pichia guilliermondii (産膜性酵母の1種)などの最小阻害濃度は100 mg/Lであったが、菌体密度が高いと効果は充分ではなかった。また、乳酸菌や酢酸菌に対する効果も充分ではなかった。
二炭酸ジメチル(DMDC、商品名Velcorin)の概要や使用方法を説明する製造元のパンフレット。
Wine Aging
Murli Dharmadhikari
Iowa State University Extension and Outreach
ワインの熟成による色、香り、味わいの変化と、酸素、温度、光の影響の基本的で平易な解説。ただし、一部現在では古くなった説も含まれている。
The protective role of dissolved carbon dioxide against wine oxidation: A simple and rational approach
Audrey DEVATINE, Igor CHICIUC and Martine MIETTON-PEUCHOT
Journal International des Sciences de la Vigne et du Vin, 45 (3), 189-197, 2011
ワイン中の溶存CO2が高いとワインを酸化から保護すると考えられている。化学工学的・熱力学的アプローチから、完全な保護効果は、CO2が生成される発酵中のみに得られ、そのため発酵中のマイクロオキシジェネーションは意味がないことになる。CO2生成がない場合、高濃度のCO2はO2の移動速度を低下させる効果があるが、これはマイクロオキシジェネーションのようなCO2によるO2の希釈効果がある場合だけで、タンク上部の空隙のような広い面積で接している場合には当てはまらない。
Atypical Aging Defect: Sensory Discrimination, Viticultural Causes, and Enological Consequences. A Review
Volker Schneider
American Journal of Enology and Viticulture 65(3):277-284, 2014
非定型的熟成(atypical aging)と呼ばれる、白ワインに数週間から1年以内に発生する異臭に関する総説。防虫剤、家具用ニス、アカシアの花、湿ったウール、汚れた布巾などと形容される異臭の発生と、品種特性香の抑制が生じ、通常の酸化的熟成とは異なる。植物ホルモンであるインドール-3-酢酸の分解により生成される2-アミノアセトフェノンが原因とされるが、その他の未知成分の関与も示唆される。アスコルビン酸の使用で低減されるが、主要因は乾燥やUV-Bなどのブドウ栽培におけるストレスである。
Pinking
Australia Wine Research Institute
AWRIのFAQに掲載されているピンキングに関するFAQ。ピンキングしやすさの予測法やアスコルビン酸とSO2による防止、PVPPによる前駆体の低下について、簡潔に説明されている。
Pinking in White Wines - A Review
A.P. NelI, W.J. du Toit, F.P. van Jaarsveld
South African Journal for Enology and Viticulture 41, 151-157, 2020
白ワインのピンキングには不明の点が多いが、フェノール化合物が貯酒中に生成するH2O2によって酸化されて生じると考えられている。この総説では、研究の歴史とともに、ピンキングしやすさの予測法、防止のためのアスコルビン酸とSO2の使用、PVPPの効果のほか、最近の研究としてアントシアニンが原因であるという報告も紹介している。
早川雅巳:醸協、104、640-646 (2009)
オークの種類と各種酒類に使用される樽についての解説。
山川 祥秀, 鈴木 芳直:醸協、95、843-846 (2000)
オークチップの使用により、官能評価結果が改善されたことを報告。
Review, Wine aging technology: Fundamental role of wood barrels
M. Carpena, A.G. pereira, M.A. Prieto and J. Simal-Gandara: Foods, 9, 1160 (2020)
ワインの熟成に関する総説。樽の役割と成分、酸素の重要性と酸化的熟成の機構、樽とオークチップの違い、樽材の違いなどを紹介する。
きた産業株式会社のWEBサイト。
古賀邦正:きた産業 Sake Utsuwa Research / 11 XI
エタノール水溶液の構造モデルについて解説。
きた産業株式会社のWEBサイト。
古賀邦正:きた産業 Sake Utsuwa Research / 12 II
泡盛(乙種焼酎)と醸造酒のビール、 ワイン、清酒のエージング(貯酒・貯蔵)における成分変化をウイスキーと比較をしながら解説。
上野 昇:醸協、90、330-336 (1995)
ワインの貯蔵条件と成分変化の解説。加熱及び寒冷安定性試験方法も記述。
The Australian Wine Research Institute
タンパク質、多糖類、ポリフェノール及び金属による混濁について、溶解試験や呈色試験による判別方法と原因を総括的に解説。
オーストラリア・ワイン研究所(AWRI)のファイニング剤(おり下げ・清澄化剤)に関する解説。ゼラチン、アイシングラス、卵白アルブミン、カゼイン、ベントナイト、活性炭、PVPPについて、選択基準、成分と作用機作、使用方法(原液作成、予備試験、温度等の注意点)を詳細に述べている。なお、スキムミルクも記載されているが、我が国ではワインへの使用が認められていないので注意。
Fining
Improved Winemaking, Advanced Theory, Practical Solutions, and Opinion
ファイニング(おり下げ・清澄)の解説。ファイニングの原理と注意点、アルギン酸塩、ベントナイト、活性炭、カゼイン、卵白アルブミン、ゼラチン、アラビアガム、アイシングラス、ペクチナ―ゼ剤、PVPP、シリカゲルなどの成分と作用機作、温度等の影響を与える要因、Counter finingの考え方と実際について実践的に解説している。なお、記載されている物品のうち、血液(血清)、キチン及び卵殻は我が国ではワインへの使用が認められておらず、アルギン酸塩のうち、使用が認められているものはアルギン酸ナトリウムである。なお、この目的での酵母の使用は認められていないが、不活性酵母は酒質保全の目的で使用が認められている。また、Sparkolloid は令和2年3月現在、日本への輸入取扱業者がなく、成分が確認できていないので、注意が必要である。
Fining & Clarifying Agents
Terry Rayner
ワインのファイニング・清澄化の原理、使用する物品の性質、使用方法、注意点などの分かりやすい解説。なお、Sparkolloidは令和2年3月現在、日本への輸入取扱業者がなく、成分が確認できていないので、注意。また、ベントナイトと活性炭を製成前に使用する方法も記載されているが、日本では酒類の原料として取り扱わない物品としては掲名されていない(変調をきたしたもろみ等の救済のために使用する場合を除く)ので注意が必要である。
A Guide to the Fining of Wine - Washington State University
ワシントン州立大学のエクステンション(公開講座)の資料の1つ。混濁の種類や、ファイニングに用いられるベントナイト、各種タンパク質性おり下げ剤、PVPPの機能と使用方法の概要が分かりやすく解説されている。ただし硫酸銅は、令和2年3月現在、日本ではワインへの使用が認められていない。なお、PVPPは令和4年1月より酒類の原料として取り扱わない物品(ろ過助剤)として認められた。
Reduction of Red Wine Astringency Perception Using Vegetable Protein Fining Agents
Wenyu Kang, Jun Niimi, Susan Elaine Putnam Bastian
Am J Enol Vitic. January 2018 69: 22-31;
米、大豆、エンドウ豆及びはれいしょの由来タンパク質の赤ワインのおり下げ効果をゼラチン及びポリビニルポリピロリドン(PVPP)と比較した研究報文。平成31年1月にワインへの使用が認められたばれいしょタンパク質は、ゼラチン同様、タンニン濃度と渋みを低減させるが彩度も低下させることが示された。なお、米及び大豆タンパク質は我が国ではワインへの使用が認められていない。
Wine Clarification and Stabilization
Lum Eisenman
ワインの安定化(微生物による混濁、タンパク混濁及び酒石析出の予防)と清澄化(おり引き、おり下げ、ろ過)の概要を簡潔に解説した記事。なおSparkolloidは令和2年3月現在、日本への輸入取扱業者がなく、成分が確認できていないので、注意が必要である。
The use of chitosan as an alternative to bentonite fining
Karien O'Kennedy
Winetec Scan
キトサンは清澄化の目的でワインへの使用が認められている。1g/Lのキトサンをアロマティックな白ワインに使用したところ、主要なタンパク混濁の原因タンパク質であるキチナーゼとタウマチン様タンパク質(TL)のうち、キチナーゼを大幅に減少させ、熱安定性を向上させた。その他、香気成分や有機酸、ミネラルへの影響も明らかにした研究報告を紹介する記事。
The use of chitosan as altermative to bentonite for wine fining: Effects on heat-stability, proteins, organic acids, color, and wolatile compounds in an aromatic white wine
Donato Colangelo, Fabrizio Torchio, Dante Marco de Faveri, Milena Lambri
Food Chemistry, 264, 301-309, 2018
上記解説記事の原報
Measurement of heat stability of wine
The Australian Wine Research Institute
白やロゼワインのタンパク混濁を防ぐため、ベントナイト処理の際に行う混濁予知試験の具体的な実施手順。濁度計を用いる方法と、絞り機能付き光源を用いる方法が写真やイラストで示されている。
Conducting a bentonite fining trial
The Australian Wine Research Institute
白ワインなどのタンパク混濁の予防のために必要なベントナイトの添加率を求める滓下げ試験について、ベントナイトのストック液の調整方法から使用率の決定までの具体的な方法を解説。
Fine tuning flotation with a potato protein: quality and process flow
Issac Rigau, Susan Erasmus and Alana Seabrook
Wine & Viticulture Journal Issue 2, 22-24, 2019
ジャガイモのタンパク質パタチンは、動物由来の清澄剤の代替品としてOIVリストに登録された。製品化されたパタチンVegecoll®は、従来の清澄剤より優れたゼータ電位を示す。ここでは、Vegecollを使用して果汁をフローテーション法(ガスを吹き込んで滓を浮かせて除く方法。一般に沈降法よりも短時間で処理できる)で清澄化する方法を紹介する。
Potato Protein Fining of Phenolic Compounds in Red Wine: A Study of the Kinetics and the Impact of Wine Matrix Components and Physical Factors
Wenyu Kang , Richard A. Muhlack , Keren A. Bindon , Paul A. Smith, Jun Niimi and Susan E.P. Bastian
Molecules 24, 4578, 2019
ポテトタンパク質を赤ワインのタンニン成分の滓下げに使用する際の諸条件を検討した報告。温度は10-15℃よりも20℃、アルコール分とpHは低い方が効果が高かったが、糖濃度(0.16 vs. 8.0 g/L)と攪拌の有無は影響がなかった。
Wine Protein Haze: Mechanisms of Formation and Advances in Prevention
Steven C. Van Sluyter, Jacqui M. McRae, Robert J. Falconer, Paul A. Smith, Antony Bacic, Elizabeth J. Waters, and Matteo Marangon
Journal of Agricultural and Food Chemistry 63(16), 4020-4030, 2015
白ワインのタンパク混濁に関する総説。原因となるタンパク質がキチナーゼやタウマチン様タンパク質等であること、共存する成分や温度やpHの影響、混濁を生じるメカニズムや混濁防止法に関する最近の研究を紹介する。なお、国内でワインへの使用が認められている物品については、本ぺージ上部の「酒類保存のため酒類に混和することができる物品」でご確認ください。
Pathogenesis-Related Proteins in Wine and White Wine Protein Stabilization
Bin Tian and Roland Harrison
Intechopen, Winemaking - Stabilization, Aging - Chemistry and Biochemistry, January 15th, 2020,
白ワインのタンパク混濁に関する総説。主な混濁原因は、病原性関連タンパク質と呼ばれるキチナーゼとタウマチン様タンパク質で、ブドウの成熟やワインの醸造方法(スキンコンタクトやプレスなど)がワイン中のこれらのタンパク質濃度に影響する。混濁の生成に影響するワインの成分や混濁予知試験の方法を紹介する。ベントナイト処理に代わる方法も種々検討されているが、まだ実用化には問題がある。
Rosé Wine Fining Using Polyvinylpolypyrrolidone: Colorimetry, Targeted Polyphenomics, and Molecular Dynamics Simulations
Mélodie Gil, Fabian Avila-Salas, Leonardo S. Santos, Nerea Iturmendi, Virginie Moine, Véronique Cheynier, Cédric Saucier
J Agric Food Chem. 2017 Dec 6;65(48):10591-10597. doi: 10.1021/acs.jafc.7b04461. Epub 2017 Nov 20.
ロゼワインに含まれる各種フェノール化合物に対するポリビニルポリピロリドン(PVPP)の吸着効果の違いを調べた研究報文。フラボノール類(42%減少)とフラバノール類(カテキンなど、64%減少)が大きく減少し、フラバノール類はモノマーよりトリマーの方が除去される割合が高かった。アントシアニン類は除去される割合は低かったが(平均21%減少)、クマロイル化されたアントシアニンは37%と特異的に吸着された。
横塚弘毅:J. ASEV Jpn., 16、22-32 (2005)
ワインのタンニン成分に対するゼラチンなどのタンパク質系おり下げ剤の作用機構に関する、横塚、Singleton両先生による報文をまとめた総説。研究者向き。
奥田徹ら:J. ASEV Jpn.,14,1,2-8 (2003)
ワインに対して通常行われる安定化処理、すなわち、加熱、冷却、ベントナイト処理がワインのタンパク質と多糖含量に及ぼす影響を紹介。
J-STAGEのWEBサイト。
辻政雄・原川守:日本食品低温保蔵学会誌、22、211-215 (1996)
甲州ワインのPVPP処理の実際とその効果について解説。
山梨県産業技術センターのWEBサイト。
小嶋匡人ら:山梨県工業技術センター研究報告、31、104-107 (2017)
貯酒管理中の適切な亜硫酸管理がピンキング発生防止に繋がり、カゼインが色調改善効果が最も高かったことを報告。
近藤徹弥ら:醸協、108、707-715 (2013)
大がかりな設備投資が不要で製造現場への導入が容易なセラミック処理によるタンパク質除去技術について解説。
日本粘土学会のWEBサイト。
鬼形正伸:粘土科学、第46巻、第2号、pp. 131-138 (2007)
ベントナイトの特性とその応用として工業的な用途について解説。
九州大学 先導物質化学研究所のWEBサイト。
高原淳:九州大学
コロイドとは何か、コロイドの特徴、性質を原理的に解説。
Deacidification
Australian Wine Research Institute, FAQ
除酸の原理及び炭酸水素カリウムの除酸効果の解説。他の除酸剤(炭酸カルシウム、炭酸カリウム)についても比較言及されている。
Technical data sheet, Potassium bicarbonate
除酸に用いる炭酸水素カリウムの販売元の製品データシート。使用法や保存法が簡潔に記載されている。
Cold stabilisation
The Australian Wine Research Institute
酒石の生成はワインの物理的な不安定性の中で最も問題になりやすい。ここでは、酒石の“現在の安定性”と“潜在的な安定性”の違いや、安定化処理をしたにもかかわらず安定性テストで不安定と判定される理由、酒石の生成阻害剤などについて解説する。
Measurement of cold stability of wine
The Australian Wine Research Institute
酒石の安定性試験として用いられる、冷却法、凍結・融解法、導電率法、濃度積法及び飽和点法についての簡潔な解説。
The Australian Wine Research Institute
酒石の生成阻害効果を持つCMC(Na塩)の性質や使用上の注意点についての簡潔な解説。AWRIのFAQコーナーの記事。
Cold stability, CMCs and other crystallization inhibitors
The Australian Wine Research Institute
酒石の安定性、及び酒石の生成阻害効果を持つCMC(Na塩)とメタ酒石酸などの特性を解説するスライド。写真やグラフが豊富で分かりやすい。
Technical data sheet, Enocristal Ca
L-酒石酸カルシウムの販売元の製品データシート。使用方法が簡潔に記載されている。なお、酒石酸カルシウムは酒石酸カリウムより結晶化に時間が掛かるため、カルシウム濃度が高いワインでは瓶詰後に酒石が析出する場合がある。L-酒石酸カルシウムはこのようなワインの酒石の安定化のため、種晶として用いられる。
The Australian Wine Research Institute
銅の由来とその作用についての解説。銅はワイン中のS系の異臭成分と結合、除去する効果があるが、銅濃度が高くなると、混濁を起こしたり、ソーヴィニヨンブランなどの品種特性香に悪影響を与えたりする可能性がある。銅の由来とその作用についての解説。銅はワイン中のS系の異臭成分と結合、除去する効果があるが、銅濃度が高くなると、混濁を起こしたり、ソーヴィニヨンブランなどの品種特性香に悪影響を与えたりする可能性がある。
Removal of volatile sulfur compounds
The Australian Wine Research Institute
ワインの異臭となる揮発性硫黄化合物の性質、及び生成を避けたり、ワイン中の濃度を低減させたりする方法の解説。硫酸銅を添加する際の注意点もまとめられている。
Using copper more effectively in winemaking
WINE & VITICULTURE JOURNAL SEPTEMBER/OCTOBER 2015 (AWRIからのリンク)
ワイン製造において、還元臭除去と残存銅の観点から硫酸銅の効果的な添加量及びタイミングを検討した報告
Metal reduction in wine using PVI-PVP copolymer and its effects on chemical and sensory characters
H. Mira, P. Leite, S. Catarino, J.M. Ricardo-Da-Silva, A.S. Curvelo-Garcia: Vitis 46, 138-147, 2007
PVI/PVPを用いたワイン中の重金属、特にCu、Fe、Pb及びAlの低減効果を調べたところ、果汁よりもワインで使用する方が効果的で、赤ワイン、白ワインともCuの除去率が高かった。フェノール化合物に対する影響は少なく、総酸が若干低減した。官能評価では、処理による有意な影響は見いだされなかった。
PVI/PVP製剤の製造元による、PVI/PVPによる重金属(特に銅)の除去効果や使用方法の簡潔な説明。
Chitosan, Chitin-glucan and chitin effects on minerals (iron, lead, cadmium) and organic (ochratoxin A) contaminants in wine.
A. Bornet and P. L. Teissendre: Eur Food Res Technol 226, 681-689, 2008
キトサン、キチングルカンなどがワイン中のFe、Pb、Cd及びオクラトキシンAの低減に有効であること、pHは低い方が有効であることを示した報告。なお、我が国では酒類の原料として取り扱わない物品にはキチン及びキトサンが、酒類保存のため酒類に混和することができる物品にはキチンが掲名されていない点に注意。
Inhibitory effect of fungoid chitosan in the generation of aldehydes relevant to photooxidative decay in a sulphite-free white wine
Antonio Castro Marin et al.: Food Chemistry, 350, 129222, 2021
キトサンの添加によって、SO2フリーの白ワインやモデルワインへの光照射によるアルデヒドの生成や着色が抑制されることを報告。Feやフェノール化合物の吸着等の作用機作も考察。
Potassium ferrocyanide wine treatment: A controversial, yet necessary operation
I. Popescu-Mitroi, D. Radu: Scien. Tech. Bull-Chem. Food Sci. Eng., 14, 4-8, 2017
フェロシアン化カリウムの鉄除去効果の原理、及び注意点に関する報告。分解を避けるため10日以上ワインと接触させない、鉄分が5mg/L以下のワインへの使用には適さない、等。
Summary of AWRI closure trials and other investigations into closure performance
The Australian Wine Research Institute, Technical Review No. 248
AWRIではワイン瓶に用いられる種々のクロージャ(栓やキャップ)の比較試験や、International Wine Challengeに出品されたワインのクロージャ関係の欠陥の解析等、クロージャに関する研究を20年以上実施した。その概要をまとめた解説。
ワイン製造用にオランダDSM社の酵素、乾燥酵母、マロラクティク用乳酸菌、発酵助剤、南アフリカのPymco Pty社のAnchor乾燥酵母と、ワイン成分分析にスペインのBioSystems社の分析キットと分析機器を取り扱っている。スペインBioSystems社のワインアナラザーと分析キットも取り扱っている。
セティ株式会社のWEBサイト。
セティ㈱のカタログ Lallemand社(Lalvinブランド)カタログの日本語版
ワイン酵母、乳酸菌、発酵助成剤、酵素、酵母リハイドレーション法、発酵管理法、ファイニング剤の紹介。酵母、乳酸菌、発酵助成剤の特性表付き。
シンワフーズケミカル株式会社のWEBサイト。
シンワフーズケミカル㈱のカタログ
Maurivin(マウリヴァン)のワイン酵母特性表付き。
有限会社マザーバインズのWEBサイト。
ワイン酵母、乳酸菌、発酵助成剤、酵素、資材(濾紙、オークチップ)、乾燥酵母リハイドレーション法、発酵管理法も紹介。
有限会社マザーバインズのWEBサイト。
ワイン中のコロイドの性質を解説すると共に、清澄化の方法を紹介。
株式会社ホージュンのWEBサイト。
ベントナイトの特性を解説。